2005年1月号
編集後記

第4回産学官連携サミットで久しぶりに西澤潤一先生にお会いしました。過去に産学官連携活動の総まとめを工業調査会から出版しましたが、その中の一章と前書きを西澤先生にお願いしてから12年になります。書名は『頭脳列島「日本」の創成』で、副題を“産学官協力の新展開”としました。産学官連携の要諦をまとめたもので、当時のものとしては唯一のものであったでしょう。その中で西澤先生は「この重要な1冊の本が記述され語られ討議されたときは、いまだ不景気ということがまったく考えられず、30年近い好景気に日本は酔っていた」と書かれました。さらに「この書籍には本質的な好景気維持のための方策が語られている」と述べられています。当時の新技術事業団(現・科学技術振興機構)理事長の久良知章悟氏も資金問題の解決で一章を書かれました。巡り巡って12年ぶりの産学官連携の取りまとめ役に40歳前後であった当時がよみがえったかのようです。

(江原委員長)

2001年秋に、欧州地域の視察にまわって以来、日本の産学官連携は、米国よりもむしろ、大陸ヨーロッパに学ぶべき点が多いのではないかと、ずっと感じてきた。伝統ある社会経済体制の中へ、米国のやり方を急激に導入することに、欧州は先んじて取り組んできた。そこには、地域ごとの多様な戦略的取り組みがあり、勝者敗者の悲喜こもごもの構図や、盛者必衰の生成流転の展開もある。1990年代の産学官連携ブームを経て、欧州は今、自分たちのやり方を希求する過渡期を迎えているようにみえる。

中国やシンガポールは、日本よりもずっと、米国式のやり方にうまく適応するだろうが、日本はそうはいかないだろう。日本は欧州から多くの教訓を学ぶことができるはずだし、そうすべきだと思うのである。

(田柳委員)

つい最近まで「産学官連携は悪」の社会的な風潮の中、技術移転の業務を進めてきた者にとって、ここ毎日のように産学官連携に関するフォーラム、交流会などが日本のどこかで開催されている状況には、軽い戸惑いを覚える。

ともあれ、学への社会貢献の要請、産の基礎研究費の減少、官の新産業創出への意欲などが相まって、産学官連携による研究成果の実用化が国是となってきた現状は非常に喜ばしいが、真に実りあるものにするためには、コーディネーション機能が「要」となる。

しかし、個人の力には限界があるので、知的なネットワークの形成が必須で、ジャーナルの事例報告・意見交換、政策提言の「場」には大きな意義を感じている。積極的に活用していただければ幸いである。

(藤川委員)