2005年2月号
産学官エッセイ
地域における技術移転活動で感じること
顔写真

丸山 敏彦 Profile
(まるやま・としひこ)

(株)丸山技術コーディネート研究所
代表取締役



地域におけるコーディネート機能を高めることを目的に平成8年10月にスタートした科学技術振興機構(JST)の地域研究開発促進拠点支援事業(RSP)*1について北海道もその指定を受け、それにかかわるコーディネート活動に従事して、都合7年半でその任を終えました。その期間中、本事業は「ネットワーク構築型」を経て「研究成果育成型」に移行し、当初は戸惑いと力不足を感じながらの活動でした。特に長いこと公設試に身を置き、地域産業の技術支援をしてきた者にとって全く異なる立場と環境のもとで、大学などの広い機関からのシーズを発掘・育成して事業化に結び付ける一連の活動は、ポストRSP活動のためにも極めて有意義でした。その経験と共に、活動を通して蓄積されたコア技術群(エネルギー・食・環境分野)が、引き続き民間ベースによるコーディネート活動の重要な経営資源となっていることは言うまでもありません。

これまでの技術移転活動では本事業の性格上、大学の研究成果が主体でしたが、事業化に結びつけるコーディネーションプロセスは課題ごとに異なりました。特に地域企業に対しては、一つの事業化に次いで関連する技術開発のインプットによって継続的にアウトプットを出すことのできる育成支援、それは大学発ベンチャーの育成にも通じたコーディネーションの重要な視点です。したがって、大学等研究成果の活用には、当初の狙いに加え、その応用性を一緒に考えながら、他技術分野への展開も重要で、それが末広がり的技術シーズであるか、その見極めが必要となります。そのためのコーディネータの気づきと発見が重要なことへの感を一層、深くさせます。また、地域的社会問題となっている環境などの分野にこそ、技術開発が遅れ、ビジネスチャンスがありますが、その対応には産学官連携のもと、技術のシステムインテグレーションによるコーディネーションが必要で、そのような活動が今後のコーディネータ冥利につきる役割と考えています。

現在、全国どの地域とも技術移転システムの早急な整備が難しい中にあっては、各地域のコーディネータ個々のコーディネーション力に頼らざるを得ない状況にあります。その意味で、JSTが実施中の「技術移転に係わる目利き研修*2」による人材育成、および計画中のコーディネータなどのデータベース化による実践的なネットワーク構築が、今後の全国的なコーディネータなどの緩やかな連携活動を支援するプラットフォームの形成を促すことを大いに期待しています。

*1地域研究開発促進拠点支援事業(RSP事業)
Regional Science Promotion Program.
http://www.jst.go.jp/chiiki/c-r/c-rindex.htm

*2目利き人材育成研修
大学などの研究成果を実用化するため、技術移転業務を支援、サポートすることができる人材(目利き人材)を育成、能力向上させるための研修。
http://www.jst.go.jp/giten/saiteki/main/18.html