2005年2月号
産学官エッセイ
地方における産学官民連携の取り組み
-高知県にある高知大学の事例-
顔写真

石塚 悟史 Profile
(いしづか・さとし)

高知大学地域共同研究センター
助教授



産学官連携のための「コーディネータ懇談会」を発足させる

高知県は、産業振興などの経済の指標においては押しなべて低位にあるが、農業、園芸農業、林業、水産業といった1次産業が盛んである。高齢者の比率も非常に高い。私が所属する高知大学は、人文学部、教育学部、理学部、農学部、医学部からなる。工学部のない高知大学が単独でできる主な地域貢献は、1次産業、1次産業に関連した食品加工業、地域健康医療産業といった産業振興と生涯学習教育にあると考えている。高知大学でしかできないことは個別に進めていかねばならないが、地方の各機関が個別に活動しても高が知れているし、下手をすれば足の引っ張り合いになりかねない。それ以上に各機関との連携を推進することで、高知大学が地方大学でなく、地域に必要とされる大学になっていくと信じ、私は微力ではあるが各機関との連携を重視した活動を行っている。

2004年度より、高知大学が事務局となり、各機関のコーディネータ的存在の方々にお集まりいただき、情報交換を行う「高知県コーディネータ懇談会」を開始した。毎月1回の割合で開催している。最初は飲み会から始めた。私自身、お酒が好きなこともあり、今でも飲み会とセットで懇談会を行っている。懇談会の中でそれぞれの持つ情報を共有することによりプロジェクトも始まってきている。各方面の皆様方のご協力のもと、高知大学は、高知工科大学、高知県、地元企業、農家などとの連携による「農業高度化プロジェクト(15課題)」、県内の研究機関、高知県、農業団体、農家などとの連携による「知的財産権を用いた農業保護と活性化に関するプロジェクト」、高知県と公設研究機関との連携による「海洋研究に関する有機的組織連携体制の構築プロジェクト」、県内の研究機関、高知県、病院、企業などとの連携による健康医療産業クラスタープロジェクトなどを実施している、あるいは計画しているところである。

新法人化への試み―海洋研究に関する有機的組織体制の構築―

私がコーディネータとしてかかわっている事例の一つを簡単にご紹介する。現在、大学と公設研究機関では研究者個人レベルでの共同研究を行っている程度である。大学の法人化と県の財政悪化という状況の中、大学および公設研究機関は、ともに外部資金の導入を図らなくてはいけない。そのため、高知県のご協力のもと、高知大学と高知県の人的・物的資源を有効に活用し、外部資金の導入による海洋研究の充実を図るため、水産食品の安全性をキーワードに、水産業の支援を主な目的とした法人の設立を検討している。この法人を起爆剤として産学官連携体制の構築ができないかを検討する研究会を発足した。

研究会では、それぞれの機関で取り組んでいる事業、法人設立による問題点、今後の方針などについて意見交換を行うことから始め、法人を設立した場合のビジネスプランも検討している。現在、事業収益を各研究機関での研究開発に投資することができる仕組みを検討しており、早期に海洋研究に関する有機的組織連携体制ができるよう努力しているところである。