2005年3月号
産学官連携事例報告
技術移転に係わる目利き人材育成研修を推
進中!
顔写真

中崎 正好 Profile
(なかざき・まさよし)

(財)全日本地域研究交流協会
事業部長



平成14年から(独)科学技術振興機構の委託を受けて、(財)全日本地域研究交流協会では、大学、国の研究機関、地域の公設試験機関、および財団などの科学技術支援機関にて、研究成果の技術移転に係わるコーディネータの皆様を対象にした「技術移転に係わる目利き人材育成研修」のプログラム開発と研修を実施してきており、これまで延べ人数で、約900名の方々に研修にご参加いただきました。ここでは、その研修プログラムの概要をご紹介するとともに、今後のプログラム進化に向け方策等について現場の皆様からのご指導・ご鞭撻をお願いするものであります。

研修プログラムの狙い
図1

 図1 コーディネータ活動


図2

 図2 研修プログラムの狙い

このプログラムの開発段階で、コーディネータの皆様にアンケートや面談調査をさせていただき、皆様が具体的にどのような活動をなされ、どんな課題を抱え、さらにどんな研修があればより効果的な活動ができるのかを検討整理し、また、大学のMBA、MOTコースで指導されている先生方や先駆的に技術移転活動をなされているコーディネータの有志の皆様にご指導をいただきながら、

技術移転に係わる目利きとしてこれから活動を開始される方々に対し、広範囲な基礎的知識やスキルを習得していただく場を提供
(基礎研修コース)
既に、技術移転に係わる目利きとして活動されている方々に対し、さらに活動の付加価値の付け方を議論する場を提供
(実務応用研修コース)
効果的な技術移転のためのコーディネータの皆様方の緩やかな広域ネットワークの構築

に注力した研修プログラムを設定しました(図1図2参照)。

研修プログラムの構成と特長
図3

  図3 研修プログラムの構成



図4

 図4 基礎研修プログラムの構成



図5

 図5 実務応用研修プログラムの構成

プログラムは、基礎研修と、実務応用研修の2つから構成されています(図3参照)。

基礎研修コースは、図4に示すように、6つの基本的な課程(技術評価と技術移転マネジメント、知的財産権、ライセンシング、ベンチャー起業、国の支援制度)で構成され、それぞれの課程では基礎的な知識・スキルを2日間で学ぶ機会を提供しております。また、それぞれの研修では、専門家からのポイントとなる講義指導のほかに、皆さんの技術移転活動の事例と課題を事前に提示していただき、問題発見と解決に向けた方策を見出すためのグループ討議の場を設けています。ここでは、技術移転に先駆的に携わってこられましたコーディネータの方々をリーダーとして、研修に参加した方にそれぞれの成功・失敗体験や課題をご紹介していただき、相互に、コミュニケーションできるネットワークを構築することを志向しています。

一方、実務応用コースについては、基礎研修受講者を対象に、図5に示すように皆様が活動していく中で抱える具体的なテーマを磨きあげることを目的に、技術移転活動の因子分析による効果的な活動のあり方の模索、機能を介したシーズ・ニーズ変換法による市場の発見方法の研修、知的財産の価値強化とライセンシング方策の検討、ビジネスプランの磨きと行動計画の策定等、徹底して事例を中心とした研修を行うことにしています。

図6

  図6 海外に学ぶ技術移転セミナー実施風景

さらに、海外の先駆的な技術移転機関を訪問し、彼らとの討議を踏まえ先進的な活動を調査し、また、海外の技術移転機関で積極的に活動中のコーディネータやアソシエートを日本に招聘した研修会「海外に学ぶ技術移転セミナー」を開催させていただいております(図6参照)。

本年度は、平成17年3月23日(水)10:00~17:30(於JST東京本部B1ホール(東京都千代田区四番町))に、これまでの米国、欧州、アジアの先駆的な技術移転機関の現地調査を踏まえて、彼らの効果的な活動調査の分析報告を行うと共に、先進的な活動をされている米国スタンフォード大学、英国ケンブリッジ大学、およびシンガポール国立大学から専門家を招聘したセミナーを計画しており、関係者の積極的な参加を期待しています(申し込みについては、JSTのホームページを参照くださいhttp://www.jst.go.jp/giten/saiteki/main/18_x2.html)。

これまでの研修
図7

  図7 技術移転に係わる目利き人材育成
       基礎研修の参加者分布

平成14年下半期から開始したこの研修も、当初は、地域の財団等のコーディネータの参加が多かったが、その後、大学の地域共同研究センターに産学連携コーディネータが配置され、また、承認TLOの増加や知的財産本部整備など大学における産学連携に関係した活動が活発化してきた関係で、最近では、大学関係機関からの参加者が増加している傾向にあります(図7参照)。

また、当初は、企業や大学で研究開発や知財マネジメントに従事されてきたコーディネータの皆様の参加が多かったが、最近では、技術移転活動を業とする若手の方々の参加者が増加してきており、技術移転活動でも経験豊かなシニア世代から若手に対してKnowledge Transferが効果的に進むことを期待しております。

本研修も開始して3年が経過し、研修を受講された方々から、研修がきっかけとなって技術移転活動が新たに進展した!という吉報をお聞きしたいと思っております。

次年度への展開に向けて

これまでの研修参加者との懇談やアンケートでは、本研修に対するご意見はおおむね有益な研修とのご意見が多数を占めておりますが、実際参加されているコーディネータの方々がそれぞれの機関にて、「責任と権限を持って主体的な活動ができ」、またその結果として、「世界に注目されるような大学等からの技術移転活動(広域連携)を実践できるような「日本発プログラムの開発」に向けて、コーディネータの皆様から忌憚の無いご意見を頂戴し、参加型プログラムを進化させていきたいと思っております。今後ともありたい姿に向かい、皆様と一緒にあるべき研修方策を模索していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。なお、平成17年度の研修計画につきましては、3月下旬にご連絡させていただく計画としています。