2005年4月増刊号
「JISTEC講演会」(2005.2.25開催)レポート
 - コーポレートガバナンスと技術経営(MOT)
企業価値の最大化という視点から

生駒 俊明 Profile
(いこま・としあき)

国立大学法人 一橋大学
客員教授・
(独)科学技術振興機構
研究開発戦略センター長


★主催者挨拶★ 社団法人科学技術国際交流センター
専務理事 齋藤 公彦

 本日は、JISTEC講演会にお越しいただき、ありがとうございます。

 本日の講演の題目になっている「コーポレートガバナンスと技術経営(MOT)」は、アメリカの『ニューズウィーク』誌によると、国際企業100社のCEOが、MBA取得者に求める17の知識の中に入っています。この2つがどのように関係して、企業競争力を高めていくのか。本日の講師、生駒俊明先生は、その略歴からもおわかりのとおり、産官学すべての仕事を歴任された方であるとともに、大変直截簡明で歯に衣着せぬ物言いをすると紹介されることもあるようですので、大変興味深いお話を聞けるのではないかと期待しています。

 どうぞ、よろしくお願いいたします。

★講演★
はじめに

 私はコーポレートガバナンスと技術経営、それぞれ別々にお話ししたことはありますし、技術経営は一橋大学のMBA*1で講義をしていますが、この2つをくっつけてお話しすることは実は初めてです。まったく違うサブジェクトなので、こじつけではなく、皆さんに最後に「なるほど、そうか」と思っていただければ、私の講演は一応成功と言えるのではと思います。MBAに必要な知識としてこの2つが挙げられる、私はこの2つがあれば、企業、特にハイテクカンパニーは経営できると思っていますので、2つをできるだけ関係づけてお話ししたいと思います。

I. コーポレートガバナンス*2
1.会社は何のために存在するか

 まず、コーポレートガバナンスといったとき「企業は誰のものか」という議論がよくされます。ちょうど今、ライブドアとフジテレビ、またはコクドと西武鉄道という問題が提議され、一つの答えを提供してくれそうな例が出ています。経営学者の間でも主権論という形で議論されていて、従業員主権*3株主主権*4創業者主権*5等々、いろいろ主張されています。

 先日、スウェーデンの経営者の方々の集まりに出かけ、いろいろ質問したら、意外とスウェーデンの経営は日本より遅れているというか、クラシカルな面があるとわかりました。ボルボという大会社は上場せず、いわゆる株主主権の会社ではありません。対して日本は今ちょうど過渡期で、コクドのように、会社を自分のものだと思っている経営者もいる一方、ライブドアとフジテレビのように、株で会社の支配権を奪い合うことがミックスしています。また新会社法も準備中で、ライブドアとフジテレビの争いはいい教訓になるのではないかと思います。

 「会社は誰のものか?」テキサス・インスツルメンツ(TI)の社長をしていたころ、ある年の新入社員20人ほどに質問すると、19人が株主のものだと答えました。若い人はライブドアの堀江さんのような考えをしているようです。私も考えてみましたが、最近は、この質問自体がナンセンスではないかと思えてきました。それよりも「会社は何のために存在するか」という質問のほうが正しいように思えます。資本主義社会において株式会社(主として株式公開会社)の本質は何かを考えたほうがいいと思います。

 私は結局、株式会社は、お金を他人さまから預かって何か事業をして、そのインプットされた価値よりも大きな価値をつけて外へ出し、その差を利潤とし、その利潤を従業員にも、お金を出してくれた人にも渡すと。こういう組織と定義することが一番正しかろうと思います。これは当然のことですが、実は日本では、利益を上げることは必ずしもいいことではない、品がないと考える古い企業もあるので、あえて言っておきます。資本主義社会における株式会社は利益を上げるものである。これは基本です。

 そのような株式会社のなかで従業員はどう位置づけられるのでしょうか。昔は労働力の提供者と定義されましたが、最近の知識創造社会においては、自らの知識や技能を提供して、会社がインプットした材料やアイデアに付加価値をつける役割を担うのが従業員だと考えられています。つまり、どれだけの付加価値を会社に与えたかの見返りとして給料があるわけです。では、経営者は何をするのか。経営者は従業員の知識・技能をはじめ、生産設備等、あらゆるものを使って最大の利益を上げようとします。実は黒字倒産が時々あるように、利益を上げるだけでは駄目ですが、それは後述するとして、一般的にはそう言われています。経営者と従業員の関係を見ると、場合によると、従業員のほうが経営者よりもスキルフルかもしれません。そうなると昔のように経営者が従業員をマネジメント(管理)するわけにもいきません。むしろ従業員をリードし、従業員の能力を最大限に発揮させる必要があります。特にソフトウェア会社、例えばマイクロソフトは、いい人材を集めるのに大変苦労しています。そのため職場環境改善運動が起こっていて、例えば職場にペットを連れてきてもよいとか、公園で仕事をしてもよいとか、そこまで行っているようです。ということで、最近、経営者の「リーダーシップ」が言われ始めたり、会社の新しいスタイルとして、経営者と従業員の立場がどんどん近づいていくフラットな組織がいいとされる理由の一つは、そこにあります。

 しかし、経営者はある程度トップダウンで決められないと、ずるずる業績が悪くなり、会社の存続がおぼつかなくなることがあります。

2.経営とは何か
 

 経営は何かというと結局、[1]資金を集め、[2]人を雇い、[3]付加価値をつけ、[4]利潤を上げるということです。

 [1] 資金調達方法

 資金を集めるのは、銀行から借りるとか、昔はよくあったように富裕者(資産家)から借りるなど、いろいろありますが、最近は株式市場から集めることが主流です。そこで株主を大事にするアメリカ(アングロサクソン)的経営か、従業員を大事にする日本的経営かという話が出てきますが、実はそれは大変間違った考え方です。会社の経営手法は、その環境に応じて最適化されるべきで、アメリカ的か、日本的かは副次的なものでしかありません。このことは後ほど詳しく述べます。

 [2] 人は、会社のコア・コンピタンス*6に見合った能力の人を集める

 人を集めるのも、昔のように単純な労働力として必要なケースは非常に少なくなりました。中国ではまだ単純労働が多いですが、日本の場合、単純労働では付加価値をつけられず、頭数より、会社のコア・コンピタンスに見合った能力のある人を集める必要があります。その意味で個人の能力が重要になってきたわけで、政府には生涯学習の機会を提供することが求められます。

 [3] 付加価値は、アイデア、スキル、コア・ケーパビリティ*7のある人

 付加価値をつけるのが、アイデアとか、スキル、あるいはコア・ケーパビリティということです。コア・ケーパビリティついては後ほど詳しく述べます。

 [4] 利潤はインプットとアウトプットの価値の差

 先程言ったようにインプットとアウトプットの価値の相違が利潤です。経済学の初歩で習う東インド貿易会社のコショウ貿易、アジアやアフリカで安くコショウを仕入れ、ヨーロッパで高く売るというのが商業資本主義の典型例ですが、ここではハイテク産業を考えてみます。

 ハイテク産業では、研究開発・技術開発が現在の価値と将来の価値の差をつけると考えられ、そこにまさに技術経営(MOT)の真髄があると言えます。そう考えれば、研究所や事業部のあり方はわかってきますが、私はコンサルタント業務をやって驚いたのですが、日本の企業には、赤字の事業部が結構平気であるのです。

 キヤノンがあれだけ利益*8を上げられるようになったのは、1995年に御手洗さんが社長に就任して、赤字事業部をたたんだからです。私はキヤノンの顧問もやっていまして、御手洗さんとお話しする機会がありますが、彼は「赤字を出している事業部に命をかけられても困る」とよく言われます。パソコン事業なんかも、赤字を垂れ流していながら命をかけられても困るわけで、全部やめてしまいました。こうしてキヤノンは95年当時、8,000億円近くあった長期借入金を3年後には全部返したということです。

 [5] 日本企業のトップ

社長 → 会長 → 相談役 → 名誉相談役

 ただ、キヤノンのようにトップダウンで決定できるところはいいですが、日本の企業は社長が言っても下が動かないところも多いです。これにも大いに驚いています。というのは、社長の上に会長がいて、その上に相談役がいて、さらに上に名誉相談役がいるというように、経済合理性に基づいて判断し実行する仕組みがなかなかできていないからです。したがって、利益を上げるよりも、潰れなければいいという経営をやっている会社が多く、その点でコーポレートガバナンスが非常に重要だという議論が日本で起こるのです。

3.利益を上げるとは何か
 

 [1] 資本コストを上回る利益、EVA*9

 では、利益を上げるといっても、どのぐらいの利益を上げれば満足するのか。それは最低限、資本コストを上回る利益、つまりEVA(Economic Value Added=利益-資本コスト)です。もちろん日本の経営者も満足すべき利益は考えていますが、その際、資本コストを意識している人はまだ非常に少なく、やっと少しずつ資本コストの概念が言われ始めているのが現状です。日本の場合、資本コストは以前は10%を超えていましたが、今はほとんどの会社が多分5~6%でしょう。アメリカは今でも多分10%以上です。資本コストが高ければ高いほど、それだけ利益をたくさん上げないといけません。

 [2] 会社は持続的に利益を上げる。キャッシュ・フロー*10を生み出すこと

 もう一つ大事なのは、会社が持続的にそのような利益を上げられる状態に置くことです。利益、売上成長率*11、その持続性、この3つに経営者は一番気を使わないといけません。持続性の観点からは、研究開発や設備投資をしなくてはいけませんから、利益を出す、つまりEVAをプラスにするのは当然であり、逆に言うと、それだけでは会社の存続はなく、研究開発投資、設備投資ができるだけのキャッシュ・フローを生み出さなくてはいけません。その中から資金提供者へのリターンを配当やキャピタルゲインで行うわけです。

 [3] 資金提供者へのリターンがコーポレートガバナンスの幹

 これが経営者の一番重要なポイントで、コーポレートガバナンスの一番の幹です。極端に言うと、他のことは全部、部下に任せておいても構わないぐらいです。

 昔、御手洗さんがキヤノンのアメリカ現地法人を起こして、わずかに0.何%かの利益を上げたら、アメリカの税務署の人が来て、いろいろ調べたあげく、たったこれだけしか利益が上がらないなら、会社をたたんで日本に帰りなさいと。これだったら、売掛金を全部回収して、定期預金に預けたほうが利益が上がると言われたそうです。当時の定期預金の利率は数%でしたから、現地法人の利益はそれよりも少なかったわけです。

 [4] 利益を生むことがキャッシュ・フロー経営*12、EVA経営である

 これはまさにキャッシュ・フロー経営、またEVA経営そのものです。少なくとも定期預金よりは多くの利益を上げなくては、キャッシュ・フロー経営は成り立ちません。

 そういう状況のもと、経営者は第一次のステークホルダー*13である従業員、資金提供者(金融機関、株式投資家)、顧客のそれぞれの価値で何をメインに考えればいいのでしょうか。顧客は収益の源泉ですから、非常に大事なことは言うまでもありませんが、3者のバランスをどうしていくかが経営トップの一番重要なことです。

4.経営環境へどのように最適化させるか
 

 先程、会社の経営手法は、その環境に応じて最適化されるべきものであると言いましたが、「その環境に応じて」とは、何を手に入れるのが一番難しいかを考えればいいわけです。

 [1] コア・コンピタンスとなる従業員の確保

 ソフトウェア会社、例えばゲームソフト会社では、従業員を手に入れるのが一番重要なことは非常にはっきりしています。逆に比較的単純労働でいい場合には、従業員価値よりも他の価値が大事になるでしょう。

 日本の企業は、不況前には銀行からお金を借りていましたが、不況になってからは、不良債権問題もあって貸し渋りが起こったり、経済のグローバル化でお金が海外に流れたりして、銀行からお金が借りづらくなり、間接金融*14が困難になってきたので、直接金融*15で、市場からお金を調達しなければならなくなりました。そうなると株式市場(株主)に向いた経営をする必要となり、コーポレートガバナンスが重要なファクターになったわけです。

 ここで注意したいのは、従業員価値あるいは株主価値といっても二面性があることです。例えば、いい職場で働きたい、働きがいのある職場を提供してほしいというのが従業員から見た会社の価値で、会社からは当然、持っているスキルが従業員の価値になります。同じように株主からは、ちゃんとリターンを与えてくれることが価値であり、会社からは資金提供をしてくれることが株主の価値になるわけです。

 [2] 直接金融の場合、株式市場に目を向ける経営がコーポレートガバナンス

 現在のように直接金融がメインで、資金繰りが一番大事な会社では、当然、株主価値重視となります。そうすると二面性として、企業は、自らの企業価値を最大化する経営をしなければなりません。これが近代的資本主義の株式会社で一番重要なもので、コーポレートガバナンスの問題と技術経営(MOT)の問題がリンクしてきます。

 企業価値というと、何か漠然として定性的なものと思われるでしょう。今回、ニッポン放送が新株予約権を発行して株数を2.4倍にするとき、ニッポン放送の社長は、これで企業価値は上がると盛んに言っています。しかし私は、企業価値は極めて定量的なものだと思います。

 [3] 企業価値の定義

 その計り方にはいろいろありますが、将来のキャッシュ・フローを資本コストで割り引いて、それを積算したものが企業価値の定義です。これをディスカウンテッド・キャッシュフロー(DCF)*16と言います。実は私は産業再生機構の監査役もしていますが、同機構では、企業の再生可能性を検討するメインの指標として、DCFを使っています。

 企業価値の変動要素には株式時価総額と長期借入金がありますが、企業価値を最大化する場合、長期借入金が一定なら、当然、株式時価総額が上がるので株価が上がる。だから、株主重視の経営が大切と多くの人が言いますが、私の場合、株主重視というよりは、株主価値重視であり、言ってみれば、企業価値最大化は経営の一つの手法であり、指標でもあります。指標であるから、社長や執行役員が、うちの企業価値をいくらにすると定量的に言えて、それが本当に達成されたかが見えるわけです。これをモニタすることがコーポレートガバナンスの真髄です。

5.キャッシュ・フロー経営とは何か
 

 キャッシュ・フロー=税引後利益+減価償却費-設備投資-運転資本増加分と計算されることは皆さんもご存じでしょうが、これを最大化することが大切です。日本の企業で一番困っているのは運転資本の部分で、これが非常に大きい。例えば製品が売れなくても、作れば利益が出たことになってしまう会計を採用しているところが多いからです。

 また減価償却費と設備投資を同じぐらいにすることをもってキャッシュ・フロー経営だと言っている人がたくさんいますが、これは間違いです。これはもともと過剰設備投資が問題になったとき、キャッシュ・フロー経営が登場したという経緯があるからですが、キャッシュ・フロー経営は、時には(減価償却費-設備投資)をマイナスにしても、トータルでキャッシュ・フローをプラスにしないといけないこともあります。

 例えばDRAMメモリ。日本の企業は撤退したところが多いですが、以前、私が計算したところでは、積算のキャッシュ・フローがプラスだった会社は1社か2社でした。いくらやっても、この事業はプラスにならなかったのです。

 [1] 企業価値最大化は「株主のための経営」ではなく、経営するための一つの指標を示すもの

 しかも、キャッシュ・フローを資本コストで割り引いたのが企業価値で、これを最大化しなければならないわけで、そのためには当然、資本コストが小さければいい。資本コストは借入金と市場調達の割合で決まり、市場調達が多ければ多いほど(借入金が小さければ小さいほど)、資本コストは高くなる。すなわち企業価値は小さくなります。しかし、日本の優良企業、例えばトヨタやキヤノンのような会社は安定経営のため、借入金ゼロを維持しています。つまり、それだけ高いハードルで利益を出していく経営が必要になります。キャッシュ・フローを常に最大化して、しかも、それを継続していかなければいけません。ジャック・ウェルチはそれを20年近く続け、成功しているわけです。

 しかし、これは株主のためにやっているわけでありません。株主価値を上げるために一つの指標として掲げているわけで、そこにコーポレートガバナンスの問題が絡んできます。コーポレートガバナンスは非常に広義では、会社を健全な状態にし、それを保っておくことです。「健全な状態」とは、[1]利益を上げて、[2]売上が成長して、[3]これを続けるという3つの要素からなります。健全性を考えるには、逆に不健全な状態を思い起こしてみればいいでしょう。最大の不健全さは会社を潰すことです。例えば雪印食品は、従業員がいろいろ法律違反をするという業務の不健全さがあったからつぶれました。あるいはコクドの場合は、経営者が裸の王様になってしまい、経営者の判断に誰も文句を言えないという経営の不健全さにつながりました。

6.企業経営を機能的にチェックするのは何か
 

 そのため、新しい商法では、社外取締役をマジョリティーにした取締役会が執行役員を監視しなさいという規定を設けました。しかし、日本では、社外取締役はその業界の素人だから役に立たないとよく言われます。そんなことはありません。会社の経営はDCFを最大化することですから、そのことがわかっている人がやれば、会社のどこを直すべきか、業種にかかわらずわかります。例えばガースナーが、ナビスコからIBMへとまったく異業種に移っても、極めて短期間にIBMを建て直せたのは、この手法がわかっていたからです。

 会社が健全な状態にあるかどうかを監視する上で重要な役割を果たすのが監査委員会です。最近は、監査委員会は遵法性だけではなく、妥当性も見るようにと法律が改正されました。

 [1] 妥当性を判断するとき、経営に4つの層がある

 しかし、妥当性はどう判断すればいいのでしょうか。私は、妥当性を判断するとき、経営には4つの層があることに留意すればいいと思います。

 一番上がビジョン・ミッションです。ビジョンが明確に示されないと会社経営はできません。ビジョンの出し方にはいろいろあるでしょうが、財務指標など、企業価値がいくらになるかがわかる数字で具体的に示すことが必要で、それに基づいて執行役員は監査委員会にコミットするべきでしょう。

 2つ目が戦略(ストラテジー)です。一番上位の戦略はビジネスポートフォリオ*17ですが、例えば赤字部門やノンコアな事業は売り払うとか、ビジネスポートフォリオに関連するM&Aの案件は、執行役員と監査委員会(社外取締役)が合意しながら決めていく問題だと思います。

 以上の2つが監査委員会や社外取締役が監視すべきレベルですが、さらにその下の2つの層、業務の効率、作戦(タクティクス)は執行役員の役割で、遵法性の判断はありますが、妥当性の判断は監査委員会の任務ではないと思います。

 [2] 社外取締役と執行役員は同じサイドに立つ

 社外取締役から執行役員が監視されていると思い、これに反対する経営者がいますが、実際は両者が同じサイドに立たないと経営はできません。アメリカでも、社外取締役と執行役員は、少数の例外を除いて、決して対立関係にありません。例えばM&Aの案件で社長が非常に悩んでいるときには、社外取締役のクールな目が役立つでしょう。日本でも、このことで社外取締役が非常にうまく機能している会社もあると聞きます。

 また、私もいくつかの会社でコンサルティングを体験してわかったのですが、日本における社外取締役の大きな役割として、社長の判断に横やりが入るのを防ぐことがあります。例えば社長が何か新しいことをやろうとする場合、会長とか相談役から横やりが入ったら、社外取締役がいるから決定は覆せないとか、そのように使えばいいのです。だから、社外取締役は常に執行役員側に立って、社長が何か革新的なこと――もちろん、間違ったことはだめですが――をやる場合には、それを助けるのが日本における社外取締役の役割だと思います。執行役員側も、改革のために、過去のしがらみにとらわれない社外取締役を使えば非常に便利でしょう。

Ⅱ. 技術経営
1.技術経営の目的は何か
 

 さて、これからは技術経営の話をしたいと思います。

 [1] 技術経営も企業経営も同じ、技術や研究開発によって企業価値を最大化する

 技術経営も突き詰めれば企業経営と同じで、技術や研究開発によって企業価値を最大化することが目的です。企業価値を最大化する技術経営の手法は、卑近な例ではITの活用です。ITの活用によって、サプライチェーンマネジメント*18や生産性が格段に上がります。サプライチェーンマネジメントの最大の武器は、先程のキャッシュ・フローの計算式の運転資本増加分を軽減できることです。利益優先の経営では、運転資本の増加は何の影響もありませんが、キャッシュ・フロー経営をしていると、これが非常に大きく効いてきます。特に生産ラインとバイヤーや顧客を直接結べることになるので、在庫削減に効きます。デルはサプライチェーンを大変スリムにして、在庫は3日分として非常にもうかっています。

 [2] キャッシュ・フローをプラスにする設備投資を極小化することが、技術経営の真髄である

 もう一つ、キャッシュ・フローをプラスにするには設備投資を小さくしたい。ここがMOTの真髄です。安い設備でたくさん製造したいため、キヤノンはセル方式を開発し、全世界の工場に展開し、500億円のコスト削減に成功し、粗利が50.3%になりました。アメリカの企業では当たり前ですが、日本企業で、ここまで高い粗利はほとんどありません。ソニーや松下電器ですら二十数%で、最終利益率は1~2%になってしまいます。売上高5~6兆円の会社が1%の利益とは考えられないほど低い数値です。従業員の雇用を守る機関としてはいいのでしょうが、価値を創造しているとは言えません。もう一つ、セル方式のいい点は、柔軟性(フレキシビリティ)です。工場は受注されたものをいつでも作れる体制ですから、受注制限をする必要はなく、運転資本の軽減になります。

 [3] 自社だけのコスト削減、利益増加ではなく周辺協力会社のことも、経営者は考えることが大事

 一方、日産の場合は、いろいろなことをやられていますが、プロキュアメントを非常に減らしたことも利益を出した要因の一つです。トヨタの場合は、極めて厳しいコスト管理をしますが、部品メーカー等に技術供与をして、彼らと一緒にコスト削減を図っています。健全な産業を築くには、経営者はいろいろな手法を考えなくてはいけません。

 技術経営で企業価値を最大化する場合、一番効くのは製造コストの削減ですが、日本の場合、研究開発部門でコスト削減の研究はあまりやっていません。もちろん個々の生産技術は高く、売上増につながるものですが、キャッシュ・フロー経営の観点からは、物流まで含めてトータルシステムとしての生産コスト削減が最も重要です。なぜかというと、売上が上がってもコストが上がれば、すぐに利潤につながらないからです。例えば研究開発費を10%増やした場合、それがペイバックされるには売上をどのぐらい伸ばさないといけないか。またコストはどのぐらい削減しないといけないかを計算すると、一番効くのはコスト削減です。

 また売上を伸ばし、利益を上げるための研究開発でも、経済価値と技術価値を混同して経営しているケースが大変多いです。例えば日本の製造業は付加価値をつけましょうと。付加価値とは非常に技術が高いことだと、ほとんどの経営者が言いますが、技術が高くても経済価値が低い例はたくさんあります。

 [4] 日本の企業は、技術価値が高い分野で、そして経済価値の低い分野での競争をしている

 あるマーケットで供給者が多く、顧客も多い分野は、当然、競争が激しく、その分、技術価値(付加価値)も高いわけですが、実はこの分野は一番もうからない分野、つまり経済価値が低い分野です。例えばシステムLSIがそうです。というのは、供給者が多い分、価格が下がるからです。日本の企業には、この分野で勝負しているところが多いわけです。反対に供給者が少なく、顧客が多い分野、これを「金の卵」と言いますが、ここが一番おいしい分野です。これはインテルやマイクロソフトがそうですし、日本では、ロームさんが、この分野に事業をシフトした結果、粗利や営業利益率がすごく高くなりました。

 つまり、技術経営としての研究開発の役割は、システムLSIのような分野から「金の卵」へと会社の事業がシフトできるようにすることです。日本のハイテク産業の現状は、すごく複雑なものを高コストでつくり、激しい競争にさらされ、安く売って利益が出ないというものです。その点、トヨタのハイブッリドカーはすごいですね。まさに「金の卵」に事業をシフトしましたから。ですから、企業価値の最大化という技術経営の目的からすると、研究開発体制も非常に変わってきます。

 同時に、研究開発費を安くしなければいけません。研究開発費もコストに反映するわけで、高くつくとキャッシュ・フローにマイナス影響を及ぼします。一時、研究開発費は聖域として、ここには手をつけないと言われていましたが、これは間違いです。中央研究所の終えんとよく言われていますが、昔のように企業がビジネスに直接関係がない基礎研究をやる時代は終わりました。アメリカでは80年代に終わっています。そういうことができるのは結局、政府のお金がたくさん入っているところで、アメリカでは軍事研究になります。実際、TIも95年までと、アメリカでは一番最後まで中央研究所を持っていましたが、それはTIの売上の3~4割が軍事エレクトロニクスだったからです。中央研究所の資金の半分以上は政府からでした。その後、TIは軍事エレクトロニクス部門を売却し、中央研究所もなくなりました。

2.コア・ケーパビリティの経営とは何か
 

 もう一つ重要なのは、先程も少し出ましたが、私が「コア・ケーパビリティの経営」と呼んでいるものです。コア・コンピタンスと似た概念ですが、少し違います。

 ある市場でナンバーワン・シェアを持っている会社は、なぜナンバーワンを維持できるのか。そのもとになっているのは、いろいろなコアテクノロジー(キーテクノロジー)であり、これらをどう組み合わせたら、ナンバーワン・シェアになる製品を生むプラットフォームができるか。これがコア・ケーパビリティです。もしあなたの会社がナンバーワン・シェアの製品を持っていなくても、市場をセグメンテーションしていけば、どこかはナンバーワン・シェアとなるでしょう。そこがなぜ強いのかをよく調べていただいて、コアテクノロジーの組み合わせを変えて、ナンバーワン・シェアとなる塊をつくるように検討してみてください。

 [1] コア・ケーパビリティは、従来のコアテクノロジーとつながりあって構成されている

 事業を拡大する場合、同じコア・ケーパビリティの中から新しい商品を出していけば、少しずつ事業を拡大していけるでしょう。さらに長期的に事業拡大を考えるならば、新しいプラットフォームをつくるべきです。ただ、「新しい」といっても、まったく飛んだところでやると、過去に鉄鋼会社がLSIに手を出して失敗したように失敗します。コア・ケーパビリティはある程度、従来のコアテクノロジーとつながりあって構成する。こういう考え方で長期的な研究開発をすべきだというのが、MOTの第2のメッセージです。

 [2] コア・ケーパビリティやコアテクノロジーは外に出さない

 コア・ケーパビリティあるいはコアテクノロジーは何かを社内で徹底的に議論して、それが決まったら外に出してはいけません。半導体産業は非常に奇妙な産業でして、プロセステクノロジーが全部、外に出て、半導体の製造装置が1つの産業を形成してしまっています。これは製造業としては異例で、製造業とは言えないのではとも思います。ある意味、このために日本の半導体産業は大変苦戦しているのです。もしDRAMでも、コア・ケーパビリティを定義して、それを外に出さなければ、今のようなことはなかったかもしれません。ただし、産業全体はもっと収縮したかもしれませんが。

 「コア・ケーパビリティの経営」の観点からは、研究開発には、事業拡大のため、コアテクノロジーをまとめて、新たなステージをつくっていく役割があります。

 [3] コア・ケーパビリティのためには、自社開発、大学などと共同開発、あるいはM&Aなどの選択もある

 足りないところがあったら、自社開発をするか、大学等と共同開発するか、あるいはM&Aで買うかという選択になります。M&Aで買うには資金が必要で、キャッシュ・フローをマイナスにして、企業価値を損ねるかもしれませんし、民間企業が自社開発をするにはリスクがあるとしたら、大学や国研、政府がやらなければいけません。そういう形で研究も、企業と大学等とのすみ分けができます。あるいは産学官連携も、そういう観点から行われるべきでしょう。そのすみ分けをうまくコーディネートするのが学会の役割だと思いますが、残念ながら、今の学会はそのように機能していません。学会の中に技術経営や研究開発のトップの方が入って、大学の先生と話し合って初めて、リスクテーキングな部分に取り組め、日本全体の強さが出てくるのではと思います。

 企業価値を最大化するという観点から、コーポレートガバナンスと技術経営(MOT)のお話をしました。極端に言えば、ハイテク産業はこの2つがあれば、企業経営は大変うまくいくし、この2つが結合すれば競争力が出てくるのではないかと私は考えています。

 ご清聴ありがとうございました。

★質疑応答★

質問1  先程、MOTとしては「金の卵」に行けば一番利益が上がるとありましたが、「金の卵」に行くための戦略としては、どういうものが一番有効でしょうか。


回答(生駒)  戦略かどうかはわかりませんが、一番重要なのはビジョンでしょう。TIを例にすると、私がTIに入ってすぐCEOが変わりましたが、彼はそのときに非常にはっきりした、また具体的なビジョンを打ち出しました。これからは、個人が持ち(パーソナライズ)接続された(コネクテッド)デジタル化(デジタイズ)機器が主流になると。当時、TIはワイヤレス通信はあまりやっていなかったのですが、デジタル化ということでDSP(Digital Single Processor)とアナログに特化し、それとパーソナライズということでローパワーと、この3つが生き残る道だと、みんなにはっきり示し、ワイヤレス通信に特化しました。そして、企業価値の指標として我々は株式時価総額÷売上高を用い、TIは当時0.5でしたが、これを6にしようとして、実際、そうなったわけです。

 もう一つの手法として、たくさんキャッシュを使った先行投資で、どんどん新しいものを出し、競争者が追いつけなくする方法もあります。DRAMは、ある意味、この競争で、日本企業は振り落とされたしまったわけです。

 ですから、研究開発をするだけでは駄目で、いかに将来を見通すことができるかが大事でしょう。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

質問2  「金の卵」に持っていったとして、それを維持するにはどうしたらいいでしょうか。例えば、自社のコアテクノロジーの規格をデファクト・スタンダードにするのか、あるいは特許を取るのか、それとも秘匿しておくのでしょうか。


回答(生駒)  例えばIBMがメインフレーム・コンピューターにこだわり、1991年に大赤字を出したように、あるとき突然、コア・ケーパビリティがコア・リジディティになってしまうことがあります。だから、「金の卵」になったからといって安心せず、マーケットの変化を見通して、うまくアジャストさせていかなければなりません。そのほか、参入障壁の形成、顧客の囲い込み、先程言った先行投資等々、維持するパターンはいくつかありますが、細かくなりますので、私の講義を聞きに来ていただければと思います(笑い)。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

質問3  「コーポレートガバナンスと技術経営」とマーケティングがどう結びついて、現実にその企業の収益になっていくのでしょうか。


回答(生駒)  コーポレートガバナンスとマーケティングは、あまりつながらないかもしれません。今すぐには考えつきません。技術経営とマーケティングはものすごく関係があります。

 MOTにおけるマーケティングは「研究開発のマーケティング」と私は呼んでいますが、普通のマーケティングと少し違います。先程お話しした新しいプラットフォームをつくりたいときにどうするかといいますと、一般の人たちがどういう将来を望んでいるかを精査します。それがビジョンです。つまりマーケティングはビジョンを出すためにも非常に大事です。この精査をすると、健康、快適、安全、安心、学習という5つは必ず出てきますし、個性化、多様化、活力も出てくることが多いです。そうすると、将来のキーワードとして例えば健康があるわけですが、健康を脅かす危機には何があるか。さらに市場規模や、何か制約・制限はないかを調べた上、どういうコアテクノロジーやコア・ケーパビリティが必要かと。これが「研究開発のマーケティング」です。

 従来、マーケティングはビジネスを通して入ってくると考えられていたので、大学や産総研などの国研は市場からのパスがなかったのですが、私は市場との直接のパスを考えるべきだと思っています。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

質問4  「コア・ケーパビリティの経営」をもう少しブレークダウンしてご説明いただけませんか。


回答(生駒)  ここでは電線を例にしましょう。例えば超伝導の電線だけでは勝てないので、それを使って磁石をつくるとします。磁石をつくるには、どういう技術が必要かを調べ、その会社が持っているノウハウやコアテクノロジーを積み上げていきます。それに加えて、顧客やエンドユーザーのニーズも把握しなければいけません。つまり、彼らもコア・ケーパビリティを構成する1つの要素です。顧客の中には量販店に強い方とか、特約店を持っている方もいるでしょう。そういうものをいろいろ組み合わせたものがコア・ケーパビリティであって、単に技術(コアテクノロジー)だけではなく、それらをインテグレートしたものです。

 ただ、ブランドは、私はコア・ケーパビリティには入れないほうがいいと思います。あれは結果だからです。例えばソニーの製品は売れるからブランドがあったわけで、売れなくなった途端、値下げしないといけなくなりました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

質問5  事業拡大を図る場合、コア・ケーパビリティを離れると難しいとありました。しかし、難しくても挑戦しなければいけないわけで、その場合、シーズ駆動で行くのか、ニーズ駆動で行くのか、どちらを重視すればいいのでしょうか。


回答(生駒)  両方です。数学で解析接続という言葉がありますが、解析的に接続するようなシーズがなければやってはいけません。しかし、それだけでは市場の中ではやっていけませんから、市場のニーズにも応えなければいけません。この辺は実は今、理論を立てて、実際に会社で試行中です。その答えは2010年に出ます(笑い)。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

質問6  今日のお話で、コーポレートガバナンス、特にキャッシュ・フロー経営および技術経営の重要さはよくわかりました。ただ、日本の企業経営者は両方とも得意ではないという現実のもと、今後どうやって、この2つを強化していけばいいでしょうか。


回答(生駒)  実は日本の企業でも利益率が高い会社は、この2つをすでにやっています。それは主にオーナー社長さんの会社です。オーナー社長さんは、例えばキャッシュフローなら、来月の給料をどう払うかと常に考え、体感としてやっていて、口に出さないだけです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

質問7  オーナー社長でうまくいっているところが多いなら、複数人の経営陣による経営ではなく、単独の経営者による経営がいいということでしょうか。


回答(生駒)  アメリカでは、1人の経営者によるトップダウンではなく、実はリーダーシップ・チームの経営をやっています。グループ経営とも違い、チームです。チームメンバーの役割を決めて、各自の立場から意見を言い、それを聞いた上で最終的には社長が決めると。これが一番いいと思います。

*1MBA (Master of Business Administration)
大学院修士課程終了後の資格、経営学修士

*2コーポレートガバナンス (Corporate Governance)
企業の統括経営と訳される

*3従業員主権
「企業は究極には従業員が統治している」
(人本主義ともいわれる)

*4株主主権
「企業は株主が統治している」
(株主資本主義に基づく)

*5創業者主権
「企業は創業経営者が統治している」

*6コア・コンピタンス (Core Competence)
企業の中核的競争資源あるいは、企業が独自に持つ固有の技術やスキルを総和した能力で、競争上では中核となる特技能力。

*7コア・ケーパビリティ (Core Capability)
コア・コンピタンス から来る企業の可能性

*8利益
利益=収益-費用

*9EVA (Economic Value Added)
経済的付加価値
EVAは米国スターン・スチュアート社が開発した指標で、同社の登録商標となっている。
算式  EVA=税引後営業利益-資本コスト
・税引後営業利益=償却前・利息支払前・税引前営業利益-償却費-税金
・資本コスト
資本コストは有利子負債コストと株主資本コストの加重平均資本コストで、W A C C ( Weighted - AverageCostof Capital)として計算される。
数式1
WACC:資本コスト
D:有利子負債金額(時価) E:株主資本(時価)
t:実効税率 l:利子率
Rf:リスクフリーレート(長期国債のレート)
Rm-Rf:市場のリスクプレミアム
Rm:株式市場の期待収益率
β:ベータ値
EVAは、企業が税引後営業利益(税引後営業キヤッシュ・フロー)から資本コストを控除し、資本コストを超過するキャッシュ・フローをどれだけ生み出したかを判断する指標である。我が国でも、花王、京セラ、ソニー等多数の上場企業で使用されている。

*10キャッシュ・フロー (Cash Flow)
文字どおりキャッシュの流れを意味するが、キャッシュ イン(入)とキャッシュ アウト(出)の差を、計算するのがキャッシュ・フロー計算書である。この計算書は3部によって構成されている。
○営業活動によるキャッシュ・フロー
○投資活動によるキャッシュ・フロー
○財務活動によるキャッシュ・フロー
※フリー キャッシュ・フロー
営業キャッシュ・フローから設備投資を差し引いて算出されるのがフリー キャッシュ・フローである。このフリーキャッシュ・フローは企業(経営者)が自由に使えるキャッシュ・フローのことをいう。
フリー キャッシュ・フローの使途
[1]財務体質の強化・・・・・借入金返済
[2]株主への還元・・・・・・配当、自社株買取り
[3]未来的な投資・・・・・・新規事業への投資、M&Aなど

*11売上成長率
数式2

*12キャッシュ・フロー経営
企業活動の中でキャッシュを創造する経営をいう。特に株主、経営者にとって重要なことは、本業である営業活動からキャッシュ・フローを生むことである。
営業キャッシュ・フロー
○税引後当期利益
○+非資金項目(減価償却費、貸倒引当金繰入など)
○±運転資金増減
営業活動によるキャッシュ・フロー
上記で解かるようにキャッシュ・フロー経営のとって、重要なことは利益計上と運転資金(売掛債権、棚卸資産、買掛債務)の効率的運用によってキャッシュ・フローを生むことである。

*13ステークホルダー (Stakeholder)
企業を取り巻く利害関係者。
具体的には、経営者、従業員、労働組合、株主、債権者、金融機関、顧客、取引先、国、地方公共団体、住民、消費者など。

*14間接金融
資金の調達にあたり、銀行や保険会社等の金融機関より行う金融をいう。

*15直接金融
資金の調達にあたり、債券や株式を発行することにより資金の供給者(投資家)から、直接調達する金融をいう。

*16ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法
(Discounted Cash Flow Method)DCF法
現在の企業価値を算出する方法である。将来獲得するであろうフリーキャッシュ・フローを資本コスト(ディスカウント・レート、割引料)で割り引いて企業価値を計算する。
数式3
PV・・・・現在価値
CF・・・・フリー キャッシュ・フロー
r ・・・・ディスカウント・レート、資本コスト
このディスカウンテッド・キャッシュ・フローは設備投資の経済性計算にも使用される。その場合、将来のキャッシュ・フローの現在価値から初期投資額を差し引いた金額のことである。これを正味現在価値(NPV=Net Present Value)という。

*17ビジネス ポートフォリオ(Business Portfolio)
さまざまな事業機会と限られた自社の資源のバランスをとりながら事業の選択と組み合わせを行うこと。

*18サプライチェーン マネジメント(Supply Chain Management. SCM)
サプライチェーン マネジメントは、サプライヤー(部品供給者)、メーカー、卸、物流業、小売業のサプライチェーンをトータルで最適化を図るものである。トータルでの在庫削減や運営コストの削減などを可能にする管理手段である。マイケル・E・ポーターの付加価値連鎖(バリューチェーン=Value Chain)からきている。
・サプライチェーンには4つの流れがある。
[1]物流・・・・・物(商品)の流れ
[2]商流・・・・・商売の流れ
[3]情流・・・・・情報の流れ
[4]金流・・・・・金の流れ