2005年12月号
イベント・レポート
「第5回 産学官連携サミット」報告

今年も「産学官連携サミット」は参加者1,000名を集め、2005年11月14日に東京プリンスホテルで盛大に開催された。会場では産学官連携はファーストフェーズからセカンドフェーズに入ろうとしていることが、随所で強調されていた。くしくも2005年には科学技術基本計画の第二期が終了し、第三期の政府の研究開発投資目標は第二期の24兆円を超す額が検討されよう。第三期においてもイノベーション先導の日本の科学技術創造立国が明示されようが、その中で産学連携が占める役割は大きい。

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主催者挨拶

松田 岩夫科学技術政策担当大臣の挨拶、庄山 悦彦日本経済団体連合会副会長、黒川 清日本学術会議会長の挨拶に始まり、松田大臣の基調講演があった。「産学官連携は科学技術創造立国のけん引役として重要である。一層のイノベーションの創出に向け、連携をより深化させる必要がある」との力強い話があった。パネルディスカッションは二部に分かれ、前半には原 丈人(株)デフタ・パートナーズ取締役グループ会長の「米国における産学官連携の新展開」、岡村 正(株)東芝会長の「企業サイドから見た産学官連携の進展と今後の課題」、小宮山 宏東京大学総長の「東京大学が目指す産学官連携のあり方」と、それぞれのスピーカーの発表が、後半には参加者とパネリストを含めての全体のディスカッションがあった。

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パネルディスカッション
     テーマ:「産学官連携の新展開の方向を、先進
     事例をもとに考える!」

サミット全体を通して、産学官連携の多々の側面からの議論があり、現状と問題点、今後の課題についての整理がされたと思う。中でも自立性を確保しつつの連携や多面的な連携の必要性など、これらには人材育成も含まれるが、現場からのフィードバックとして言及されたことは注目される。世界に通用する国際競争力を持った大学や学生を目指すには、より進んだインターンシップの実施、人材交流が必要であるとの話もあった。小宮山東京大学総長の発表では、資源が少なく人口密度が高く、高齢化も進んでいる日本は、今後、世界が到達するであろう状況を既に先取りしている課題先進国である。これからの日本では、社会システムへ知の結集と繰り込みが要請される。構造化した知のもとでの産学連携で、科学レベルの向上、基本技術の向上が図れる、との話があった。日本の社会は、独自のビジョンを求められよう、との東京大学総長のビジョンが印象に残った。

パネリスト、参加者全体のディスカッションでは、学からの発言、産学官の連携場面の現場から出た課題についての発言が多く聞かれた。

(本誌編集長 加藤 多恵子)