2006年9月号
編集後記

横断的研究プロジェクトを展開するときには、リーダーシップが必要なことは言うまでもないが、後押しをする力も必要なことを実感している。特に大学では、全く新たな視点でプロジェクトを立ち上げる場合、既存の組織が対応しないことが多く、理念倒れとなる危険も。そこで最近、大学発ベンチャーの力を借りてみたところ、研究者の問題意識をより鮮明に整理できた。今後の自治体や産業界との連携を視野に入れたとき、その役割はさらに増大する可能性が大である。新たな試みへの挑戦を始めたところである。

(吉国委員)

8月号の編集後記では、藤井委員が第3期科学技術基本計画のポイントはイノベーションの創出・推進に基づく成果の顕在化であると指摘しておられるが、イノベーション重視の傾向はわが国のみならず世界各国でも顕著となっている。特に近年脚光を浴びている「イノベーション・エコ・システム」の概念の下では、産学官をはじめとする多様な主体の相互間の協働・競争を通じて科学的知識を新製品・サービスや市場に結び付け、新たな価値をいかに社会にもたらすか、そういったイノベーションが持続的に起こる「場」をいかに構築するか、そしてわれわれの社会をいかにより高度なものに進化させていくか、が課題となっている。言うまでもなく、産学官の活発なインタラクションはそうした「場」における協働・競争の中核となるものである。本ジャーナルを通じて、こうした視点から読者や関係者の皆さんとわが国のイノベーション・エコ・システムについて考えていきたいと思う。

(渡邊委員)

9月号では諏訪地域の産業クラスターを特集しています。 工業集積度の高い精密工業等、歴史的にものづくり企業の多い地区です。地元企業による大変活発な展開の、現在の様子が詳しく読み取れる記事になったと思います。地域の産学官連携事例としては、ナノテクノロジーを応用した抗菌性マスクの開発と商品化を取り上げました。健康に寄与する、一般にも大変に身近な商品ターゲットで、さらなる事業展開が期待されます。

8月に米国に行ったとき、たまたま大陸を動き回る熱波(ヒート・スポット)にはまってしまいました。帰国したら直ちに、「アメリカはとっても暑かったでしょう」と友人たちに言われました。情報の流通はまさにグローバルで、国境を越えて人々の関心が働いていることを実感した次第です。

(加藤編集長)