2006年11月号
編集後記

金融機関が企業と大学、あるいは企業と公的機関等の橋渡しをするいわゆる産学金連携が最近、盛んに進められている。9月号にその一端が垣間見える大阪信用金庫の事例が載っている。常日頃お付き合いのある金融機関が企業と大学の中に入ることで、特に中小企業には安心感が生じ、気軽に大学との技術相談、共同研究に進むことができ、うまくいくと、企業化にまで発展できる。また、金融機関には技術相談等を通じて、企業の囲い込みができ、共同研究、企業化まで進むと、開発費や設備投資の資金支援ができる。さらに成功時には、メインバンクにもなりえるメリットがある。大学にとっても、技術相談、共同研究が増え、研究資金獲得の手掛かりになる。その上、企業評価においても、金融機関の財務面、大学の技術面での目利きの相乗効果が発揮でき、より良い企業と組むことが可能になる。この産学金連携はいろいろな形でますます発展していくと思われる。

(阿部委員)

編集委員会で地方圏の大学の産学連携には大都市圏の大学とは異なるモデルが必要であるとの議論が行われました。そのとおりだと思います。産学連携の成否は、産学連携を活用できる力を持った企業が地域にどれだけあるかということに大きく依存します。そのような企業が少ないことが地方圏の大学の悩みだと思います。私のこれまでの観察では、産学連携を活用できる力は、市場ニーズ把握力とコア技術の両面に支えられた製品開発力に比例します。私が勤務する京都は地方圏とはいえませんが、中堅クラス以上の企業はすでに産学連携を活用している場合が多いですが、中小企業では産学連携と縁遠いことが多いという点で地方圏と共通の課題があります。京都では、製造業を対象として従来産学連携に縁遠かった下請け加工型の中小企業でもその中で意欲ある企業を技術革新システムに組み込んでいこうという取り組みが始まっており、近々本誌で紹介したいと思います。

(児玉委員)

本号の特集は、「TLO再考」です。現在、承認TLOは全国に42機関あります。その承認TLOは現在大きな岐路に立っているといわれています。またTLOの体制や制度設計は地域によりそれぞれ異なります。その中で、東北テクノアーチと関西圏の新産業創造研究機構(NIRO、ひょうごTLOを含む)を取材して、経営内容や地域での活用のされ方などについて記事にしました。この特集は、TLOの現状、問題点、今後の課題、などを浮き彫りにしたものです。  

「産学連携と法的問題」は、回を重ねて本号で11回になりました。今回は、知的財産権の信託制度を取り上げました。今日的な主題です。  

中秋の名月の季節も終わり、紅葉の季節です。季節の移り変わりは、日常生活を豊かにしてくれます。木枯らしの吹く季節も近くなるわけですが、読者の方々にはご自愛ください。  

(加藤編集長)