2007年2月号
編集後記

ある識者から、大学が産学連携に成功する鍵は、学内に起業家精神を持った研究者が存在することという意見を聞いた。大学の研究者自身がベンチャー企業の社長になれと言っているわけではない。研究者であっても、技術を事業化し、成功する道程を想像する点で起業家に匹敵する精神が必要という意味である。もちろん、他人任せにせず、挑戦する精神も不可欠であろう。もし、研究者に起業家精神が必要なら、産学連携の実務者にはなおさら必要ではないか。これまで産学連携の実務者に必要な条件は、技術、経営、法務(知財)の融合分野の知識とコミュニケーション能力と考えてきたが、改めて起業家精神の重要性を意識した。起業家精神の溢れる研究者と産学連携実務者、そして起業家の3者が惹かれ合う状況が理想であろう。

(伊藤委員)

本ジャーナルの記事は、様式が対談や座談会であれ、インタビューや執筆であれ、登場する方々の経験を中心に構成されている。記事内容は、実務的だが、総花的、一般的で、読者対象が絞り込まれていないというご批判もある。帯に短し襷に長しというわけである。しかし、産学官連携が世のトレンドになってから日が浅い。多種多様な経験から経験則が導出され、それが理論化されるまでには長い時間を必要とする。現在は、産学官連携にかかわる学会や業界らしきものが形成されはじめたところである。本ジャーナルのミッションは、産学官連携のパブリックリレーション促進にある……と私自身は考えている。数年後には、産学官連携情報のリーディングポジションを占めるようになることを願っている。

(川村委員)

今月号では、「RSP事業(地域研究開発促進拠点支援事業)ネットワーク構築型」で尽力されたコーディネータの方々による座談会を掲載しました。地域内外の人材をコーディネータとして育成しながら、地域ニーズの特色をとらえたコーディネート機能の充実を図る取り組みだったとも言えます。そのとき、コーディネータの起点があったこと、コーディネータのご尽力があり、現在があり、今後のコーディネータの役割の考察まで含めて、大変に興味深い貴重な掘り下げを体験されたお話が伺えたと思っております。ぜひご一読ください。また「産業界に聞く産学連携」では、東北地域では産学連携あっての地域経済再生である、とのお話が印象に残りました。前 知的財産戦略推進事務局長の荒井寿光氏からは、知的財産戦略推進についての興味あるお話が聞けました。

地球全体が温暖化の影響で、気候の変調が甚だしいと聞きます。それでも一年中で一番寒くて乾燥した日々が続いています。風邪をひかれませぬように。

(加藤編集長)