2007年4月号
編集後記

国立大学法人がスタートして4年目に入った。

法人化当初は、「大学の淘汰(とうた)に対する危機感の欠如」や、「産学連携不要論」を耳にしたが、今、それらを言う人はいなくなったように思う。本年は産学連携事業も実務を伴う環境となり、良い意味での格差が明らかにされる1年となる予感がしてならない。

アイデア・技術が本物かどうかの見極めの一つが、製品化による「売上」が立つこと。アイデアから製品化につながり、最後に「売る」という行為になるが、売れて利益を出すところまでいかなければ、それらが本物とは言えない。もちろん、産業のイノベーションにつながるためには、それが全国的に展開されることが必定だ。

(平尾委員)

本年1月に開催された“徹底討論「産学官連携ジャーナル」2006年の記事をレビューする”の記事が本ジャーナルの3月号に掲載された。その座談会で、各参加者に対して2007年の記事企画における標語を求められ、「これからの産学官連携活動は、“プロセスイノベーションからプロダクトイノベーションのステージへ”です」と答えた。そこで、これはと思われる資料を勉強し始めたが、その中で経済産業省が昨年の2月から10月にかけて開催した産業構造審議会産業技術分科会の産学連携推進小委員会が公表した米国、英国、日本における技術移転の成果比較の内容をみて愕然(がくぜん)とした。米、英に比較して、あまりにもその効率が低いことに驚いた。特許出願件数に対する技術移転割合が低いことに加えて、1件あたりの技術料収入があまりにも小さいことを示唆し、本分野の経営の深刻さを感じる、

(藤井委員)

今月の特集記事「コーディネータの責任と権限」は、執筆記事と座談会記事の各1編により、各々の特長を生かしてこの課題に迫りました。また、別の座談会記事として、RSP事業「研究成果育成型」で活躍されたコーディネータの方々により、当時のコーディネータ活動を回顧する座談会を掲載しました。特集記事の座談会では、コーディネータの活用戦略、必要なスキル、キャリア形成と雇用形態等、幅広い話題について、実体験から話していただきました。コーディネータとは何か?が、両座談会の共通の課題意識ですが、特集記事の座談会では大学と企業との間に立ってinterpretする人、産学連携のプロとしてのテクノプロデューサー、がコーディネータであり、コミュニケーション力が必須、産学連携は人なり、といった話が出ました。特別寄稿の記事として、産学連携に多くのものづくり中小企業を包含させるための産学官連携改善提案が掲載されています。ぜひお読みいただきたいと思います。さて、今回で加藤は降板いたします。本誌の編集にかかわった2年間、編集の仕事にご理解をいただきましたことを感謝いたします。

(加藤)