2007年10月号
特集  - 大学発ベンチャーの株式公開
ジャスダック証券取引所が成長可能性のある新技術、新ビジネスモデル企業を支援する新市場「NEO」創設
顔写真

筒井 高志 Profile
(つつい・たかし)

株式会社ジャスダック証券取引所
代表執行役社長(CEO)


ジャスダック証券取引所が2007年8月に創設した新市場「NEO」は、上場審査の内容に「企業の成長可能性」を含め、新技術、新しいビジネスモデルを有する企業の支援をうたっている。その経緯や狙いを解説する。

新市場「NEO」創設の経緯

「JASDAQ」は、昭和24年に店頭市場として発足して以来、一貫して、日本経済の将来を担う次世代産業や経済・社会構造の変化を先取りした先進的産業の育成を直接金融を通じて支援することによって、日本経済の発展に貢献することを使命としてきた。

近年、経済のグローバル化や新興市場国等の勃興(ぼっこう)等に伴う国際的な競争の激化、IT等の技術革新、少子高齢化等による社会構造の変化等により、社会・経済構造が急激な変ぼうを遂げつつある中にあって、これまでにない速度で、次世代を支える産業技術の開発、また、新たな市場ニーズに応えるビジネスモデルの創出が見られる。また、「JASDAQ」の上場会社数が1,000社に迫ろうとしている現状において、上場会社に多様化が生じている。

これらを踏まえ、当取引所の使命を果たすべく、成長可能性のある新技術または新たなビジネスモデルを有する企業を支援するとともに、投資者に当該企業への投資機会を提供することを目的として、新市場「NEO(ネオ)」を創設することとし、有価証券上場規程等の一部改正等を行い、2007年8月13日に施行した。

成長可能性のある「新技術」または「新しいビジネスモデル」を有する企業を支援

「NEO」においては、新たな試みとして、技術の実在性を評価する諮問機関である「技術評価アドバイザリー・コミッティー」の設置や事業計画の内容や進捗を開示する「マイルストーン開示」の義務付けといった新しい制度を設けている。

技術の実在性についての評価

「NEO」は、成長可能性のある新技術または新たなビジネスモデルを有する企業の支援をその目的の一つとしているものであり、これから技術を高め製品化していく企業が予定されているため、当該技術に関する評価が必要となる。そこで、当取引所としては、先端的な技術を基盤として事業を行う企業の上場申請に当たって、当該技術についての説明書類の提出を求め、必要に応じ、上場申請会社から独立した複数の有識者による技術上の観点からの分析を行った技術評価の結果を示す書類の提出を求め、新たに設けた「技術評価アドバイザリー・コミッティー」*1において、上場申請会社より提出された技術評価の結果を示す書類を基に、上場申請時点における当該技術の実在性についての評価を行うこととしている(当該技術の具体的な成果または効果が客観的に確認でき、製品化されている場合を除く)。

なお、技術評価アドバイザリー・コミッティーは、技術や技術に基づく最終の製・商品化等について何ら保証するものではない。また、上場についての最終的な判断は当取引所が行うこととなるが、当取引所としては、技術評価アドバイザリー・コミッティーの評価を最大限尊重することとしている。

マイルストーン開示

また、当取引所は、「NEO」に上場する企業の特性にかんがみ、投資者の投資判断に重要な意義を持つ会社情報に係る開示の充実を図る観点から、既定の適時開示に加え、以下のマイルストーン開示を、新たに「NEO」の上場会社に義務付ける。

「NEO」の上場会社は、四半期ごとにマイルストーン開示を行うこととしている。マイルストーン開示には、「NEO」の上場会社の3年以上の期間に係る事業計画の内容およびその前提条件、マイルストーン開示を行う時点における事業計画の進捗状況並びに今後の達成の見通しおよびその前提条件等について記載することとしている。

なお、当該事業計画は、1年ごとに見直しを行い、各事業年度において、常に3年以上の事業計画が開示されていることが求められる。

イノベーションの創出、新産業の創造に貢献

「NEO」は、これまで「JASDAQ」が果たしてきた「新興企業の登竜門」としての機能に加え、近年の市場ニーズの急激な展開やテクノロジーの急速な進歩などに対応できるような新たな機能を備えた市場を目指している。当取引所としては、「NEO」が成長可能性のある新技術または新たなビジネスモデルを有する企業を支援する市場として、イノベーションの創出、新産業の創造に貢献できるものと確信している。

*1
「技術評価アドバイザリー・コミッティー」委員(五十音順、敬称略)
相磯 秀夫:東京工科大学学長
清成 忠男:法政大学学事顧問(元総長)
庄山 悦彦:株式会社日立製作所 取締役会長
西澤 昭夫:東北大学総長特別補佐(利益相反マネジメント担当) 未来科学技術共同研究センター副センター長 東北大学大学院経済学研究科教授
山本 慧:北里大学客員教授(医学博士) 元財団法人万有生命科学振興国際交流財団 理事長