2007年10月号
特集  - 大学発ベンチャーの株式公開
「高成長指向型」ベンチャー企業の目標はIPO -経済産業省の大学発ベンチャー基礎調査

ベンチャーキャピタルから支援を受けて高い企業成長を目指す大学発ベンチャーは全体の23%。そのほとんどが新規株式公開(IPO)を目標にしている-経済産業省の「平成18年度大学発ベンチャーに関する基礎調査報告書」(平成19年9月)でこんな結果が明らかになった。

同報告書は、クラスター分析の手法を用いて大学発ベンチャー企業をA~Eの5つのグループに類型化した。分析に使ったのは「設立からの年数」「資本金」「就業者数」「右腕の存在」「研究開発費」「ベンチャーキャピタルからの出資」「資金の確保状況」など14の変数である。分析対象は変数のデータがそろっている212社。

数値が示される「設立からの年数」「資本金」「就業者数」「研究開発費」の4項目すべてにおいてAグループが最も大きく、次いでBグループの順。AとB両グループは、ベンチャーキャピタルの支援を受けている企業が圧倒的に多い。資金の確保状況については、Bグループが資金が十分に確保されている企業の割合が高く、Cグループは通常業務に回す資金も欠いている企業の割合が8割以上を占めた。

さらに同報告書は、5つに分類されたグループに関して、「成長指向の考え方」とクロス分析を行った。この結果、高成長指向が強いのはBグループで、「新規株式公開を目指したい」と回答した企業が約96%あった。Bグループに分類されたベンチャー企業は49社。全体の23.1%、およそ4社に1社が株式公開を目指す「高成長指向型」というわけだ。

Aグループの場合、「高い企業成長を目指し、新規株式公開をしたい」という企業の割合は50%である。

図1

各グループの特徴
出典:平成18年度大学発ベンチャーに関する基礎調査報告書(平成19年9月 経済産業省)



図2

        資料:慶應義塾大学SIVアントレプレナー・ラボラトリー牧委員のコメントを参照に経済産業省作成



5つのグループのイメージ
出典:平成18年度大学発ベンチャーに関する基礎調査報告書(平成19年9月 経済産業省)

Eグループは「従業員50人、売上高数億円の企業規模の実現」を目指す企業が、またCグループは「他社への売却を視野に入れている」企業が、それぞれ相対的に多い。

同報告書は「これら大学発ベンチャーの多種多様な成長形態はいずれの場合も我が国経済への貢献といった観点から評価されるべきものである」と総括している。

(本誌編集長:登坂 和洋)