2007年10月号
編集後記

今月号では、東北大学の堀切川教授に関する記事が2つ取り上げられている。特徴は何と言っても中小企業の開発ニーズを的確にとらえ、着実に製品を市場化している点だ。これは堀切川教授のフットワークの軽さと親しみやすい人柄によるところが大きい。年度の初めの誌上座談会で「マーケット志向のイノベーション・システム」をキーワードとして挙げたが、堀切川教授の取り組みは、これを構成する重要な要素だと考えている。今後、地域がマーケット志向のイノベーション・システムを構築するには、首都圏からの顧客ニーズの把握、そして開発者へのフィードバックが重要である。こうした仕組みづくりが、地域における新技術の事業化の重大な課題だと考えている。

(西山委員)

イノベーション・ジャパンは大変なにぎわいで、特に12日は人であふれていた。展示ホールの大学・TLOゾーンは、大学の旗がここかしこに翻り戦国時代さながらの活気であった。分野別に区分され、わかりやすく、また優秀賞が当日に発表されていたのもよかった。優秀賞の1つであるシロアリの駆除方法はまさに探していたもので、LIVEでシロアリの巣を見ることができ、まさに感激。当初の気恥ずかしさもなく、大学の先生方が積極的にPRされ、また具体的にサンプルのフィルム等を展示し見せていたのには感心した。講演会も1つ聴いたが、そこも満員でよくこれほどの人が集まるものだと驚いた。私は現在100人の博士をセミナーに集めるのに苦労しているのに!?

(府川委員)

9月20、21の両日、長崎市で開かれた「イノベーションコーディネータフォーラム2007」には、JSTのプラザ、サテライトの「コーディネートスタッフ」やNEDOフェローなど20代の若手も大勢参加した。先輩のコーディネータが自ら語る成功事例は大いに参考になっただろう。彼らと話をしていると、将来の夢とともに不安も感じられるが、多くの仲間と触れ合うことで自分が取り組んでいる仕事の意味を再確認できたのではないだろうか。長崎は吉田松陰が嘉永3年に遊学したところ。これが伝統的な学問の世界から抜け出て、松陰を実践的な幕末の思想家へと向かわせた。長崎の集いが産学連携の若き獅子たちが目覚める契機となることを願っている。

(登坂編集長)