2007年12月号
イベント・レポート
技術革新の担い手となる中小企業とは
~京滋地域クラスターの可能性~

2007年10月号の拙稿*1で紹介したとおり、11月19日、京都大学経済研究所と独立行政法人経済産業研究所(以下、RIETI)は、近畿経済産業局、京都府、滋賀県、京都市の後援を得て、先端政策公開シンポジウム「技術革新の担い手となる中小企業とは~京滋地域クラスターの可能性~」を開催した*2

本シンポジウムの発端は、RIETIと京都大学の共同研究として、筆者等が京都府南部から滋賀県南部にかけての「京滋地域」の製造業を対象として実施した調査にある。この調査では、技術革新力があると期待できる企業類型として、設計能力と自社製品の売り上げに注目して「製品開発型中小企業」を定義し、同地域には、製品開発型中小企業が多数存在し、産業クラスター形成の担い手として期待できることを確認した。その後、地域の行政、産業支援機関などと開催した研究会での検討も踏まえ、これら製品開発型中小企業への注目を促し、クラスター形成の方策を検討するため、本シンポジウムを開催した。

シンポジウムにおいては、松重和美氏(京都大学副学長・産官学連携本部副本部長、京都ナノテククラスター研究統括)から地域イノベーション創出や広域連携における大学の役割、古瀬利博氏(経済産業省地域経済産業G地域技術課長)から産業クラスター計画と地域イノベーション創出施策を紹介する講演があり、筆者から京滋地域の製品開発型中小企業について報告した。パネルディスカッション前半は、実際に製品開発型中小企業4社が登場し、後半は、市原達朗氏(京都ナノテククラスター事業総括)のコーディネートの下、近畿経済産業局、京都府、滋賀県、京都市の行政・支援機関、京都大学産学連携部局の有識者が、行政および大学の対応について議論を行った。

製品開発型中小企業に注目すると、大手顧客企業のニーズをとらえつつ、各社のコア技術の新市場分野への応用展開に成功している企業が多い。その過程で遭遇する新たな技術課題の解決や将来必要と予測される基礎技術の開発などのため、大学との連携ニーズは高まっている。すなわち、産学連携を通じた技術革新ポテンシャルが高いことが確認された。これらの点の議事について、本誌新年号で紹介する予定である。本シンポジウムでの議論は、大学や公的支援機関のリエゾン機能の効果的な活用、中小企業の技術人材確保、試験設備の共同利用体制の充実など、クラスター形成のための具体的な課題を検討する上で極めて示唆に富むものであった。

(児玉 俊洋=京都大学経済研究所 教授)

*1
産学官連携ジャーナル 2007年10月号 当該記事を参照。

*2
詳細はhttp://www.kier.kyoto-u.ac.jp/caps/workshop/sympo2007_4.htmlを参照。

先端政策公開シンポジウム
技術革新の担い手となる中小企業とは~京滋地域クラスターの可能性~
開催日:2007年11月19日(月)
会場:京都大学百周年時計台記念館 百周年記念ホール
主催:京都大学経済研究所 経済産業研究所