2008年1月号
編集後記

新年を迎え、本ジャーナルも4年目になりました。1980年代後半の大学における地域共同研究センターの設立に始まり、TLO法、知的財産基本法、大学発ベンチャー設立運動へと流れてきた日本の産学官連携の現場は、国立大学を30校に再編するという「遠山プラン」を端緒とする国公私立大学の合従連衡再編へと昨年より大きくかじを切り始めているかのように見受けられます。その是非はともかくとして、ここに共通する課題は産学連携を主体的に担う人材の育成をどうするかという点と、産学連携の実りを産業のどこに実質的に結び付けるのかに集約されるように思われます。産学連携を担う人材育成はこのままでいいのか? 産学連携は、地域イノベーションにどのように貢献するのか? これを問う1年とする所存です。

(編集委員長・江原秀敏)

最近、「地域活性と農業」問題を考えることが多くなった。過疎化、高齢化と農業問題は一体として考えられるので、雇用創出等を目的とした地域活性を考えるとき、産業界との連携は不可欠ではと感じている。農業問題と地域活性の観点から、しばしば地域ブランドの効用が示されているが、一方で、地域ブランドは市場を囲い込み、必ずしも雇用創出につながらないのではとの指摘もある。

地域ブランドによる差別化を図りつつ、より市場を拡大し、多くの人が参入できる仕組みを作ることが今後の課題ではないだろうか。【過疎化】⇔【雇用創出】、【高齢化】⇔【若者の流入】といった、相反する課題を意識しての産学官連携モデルを念頭に、食品関連企業との対話を始めたところである。

(編集委員・吉国信雄)

産学連携に携わる人々、あるいはその支援機関の人々の間で人材育成の必要性が叫ばれています。行政施策がどう展開するにしろ、皆が乗れる船が用意されることはもうありません。人材が決め手と分かってきたからでしょう。本増大号では、各分野の人材論議を整理した特集のほか、第2の特集としてイノベーションシステムのなかの中小企業の役割を検証しました。いずれの特集テーマも「産学官連携」の世界が抱える重要な課題。重厚な論考、熱いメッセージを楽しんでいただけたでしょうか。地方の産業、地域の人々の暮らしを再生させることは国を挙げてのテーマ。4年目に入った当ジャーナルも地域に入り込み、新鮮な話題を提供したいと思います。本年もよろしくお願い致します。

(編集長・登坂和洋)