2008年2月号
編集後記

昨年11月、大学と県が主催し「山梨産学官連携シンポジウム」を開催した。約500人の参加を得た。毎年6月に京都で行われる「産学官連携推進会議」の地方版である。京都の会議は大学関係者が7割を占めているが、この山梨のシンポジウムは県内の企業からの参加者が半数以上を占めた。地方の中小企業がいかに下請け的な事業から、自社技術に基づく自社製品の開発・販売に脱皮するかという意気込みがうかがわれた。

今後の産学官連携のキーワードは「地域」と「国際」である。特に地域の産学官連携は、中小企業による地域活性化のゴールデンキーだと認識している。ここで問題なのは、産学官連携に対する地方公共団体の主体性だ。はっきり言えば、多くの県や市の職員、首長、地方議会議員は相変わらず公共事業の補助金と工場誘致のみの地方行政に執着している。長期的視点に立てば、自立的かつ持続的な地域社会の発展には、まず、この地方公共団体の意識改革が必要ではなかろうか。

(編集委員・佐野 太)

「産学官連携支援事業」、「産学官連携活動高度化促進事業」と事業の質が変化する中で、文部科学省産学官連携コーディネーターとして大学に配置されて6年が経つ。

大学と外との接点に存在し、大学シーズと企業ニーズのマッチング、学内への産学官連携意識の醸成、大学・地域・自治体との連携構築、プロジェクト創出等と活動ステージは変化し続け、大学の成果を社会へ還元するために、大学の知を活かし核とした地域イノベーションを目指し、創出、プロデュース、コーディネートと自身の活動を位置付けている。

新年度より「産学官連携戦略展開事業(コーディネートプログラム)」と文部科学省産学官連携事業も進化するが、多様なコーディネーター活動事例を紹介し続けたいと思う。

(編集委員・森 紅美子)

山中伸弥京都大学教授を中心とするヒト万能細胞の研究に各省庁が積極的な支援に乗り出す。科学誌「Cell」の論文だけだったらこうした展開にはならなかっただろう。「ノーベル賞候補となるすごい研究」で「米国などと競争している」ことがテレビや新聞で大きく報道されたからである。「知の大競争時代」に入った具体的事例として茶の間の話題になった。説明がつくから役所も動きやすかった。情報が資金を生んだのだ。多忙にもかかわらず、山中教授はさまざまなメディアの取材にこまめに対応している。感心する。国民に幅広く知ってもらうことが研究への支援に結び付く。分かりやすく伝える-当ジャーナルもこの基本を再確認し、「産学官連携」への理解を広げていきたい。

(編集長・登坂 和洋)