2008年2月増刊号
特集  - 地域のイノベーションを支援する各省の新年度予算
農林水産省
平成20年度予算における競争的資金制度の再編充実について

農林水産省
農林水産技術会議事務局
先端産業技術研究課
産学連携研究推進室


農林水産省においては、競争的研究資金制度を、プロジェクト研究と並ぶ重要な産学官連携による研究開発推進手段として位置付けており、平成20年度から、研究開発の発展段階や特性に応じて、より使い勝手が良く戦略的なものとするために、再編充実を行うこととしている。

具体的には、基礎・応用段階に対応した「イノベーション創出基礎研究推進事業」(独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術支援センター〈以下、生研センター〉が運営)と、開発・実用化段階に対応した「新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業」(本省農林水産技術会議事務局〈以下、技会事務局〉が運営)の2本に再編し、技術シーズ(種)の開発と実用技術の開発を両輪として推進していくこととしている。

平成20年度予算の概算決定額は、「イノベーション創出基礎研究推進事業」が約68億円、「新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業」が約52億円となっている。

「イノベーション創出基礎研究推進事業」の概要
目的: 農林水産業・食品産業の発展や世界規模での食料・環境・エネルギー問題の解決に資する技術革新(イノベーション)の基になる技術シーズを開発する。大学、独立行政法人、公立試験研究機関、民間企業等の研究者または研究グループが研究の実施主体となる。

また、本事業においては、基礎段階から応用段階の研究開発へ、研究が切れ目なくスムーズに移行できるような評価の仕組みを導入するとともに、技術シーズの開発を担う若手研究者や研究開発ベンチャーの育成につながるような研究枠の設定やその内容の充実を図っている。

[1] 技術シーズ開発型

研究者の独創的なアイデア、萌芽段階の研究を基に、イノベーションにつながる新たな技術シーズを開発する基礎研究

     研究期間:原則5年以内
     研究費:原則7千万円以内

技術シーズ開発型の中で、39歳までの若手研究者を対象にした「若手育成枠」(研究期間:原則3年以内、研究費:原則3千万円以内)を設定。

[2] 発展型

技術シーズ開発型や他の研究制度で開発された技術シーズを実用化に向け、応用・発展させる研究開発

     研究期間:原則3年以内
     研究費:原則6千万円以内

発展型の中で、研究開発ベンチャーの育成を目的とした「ベンチャー育成枠」(研究期間:原則2年以内、研究費:原則3千万円以内、研究に先立ち1年間のFSを実施して対象を選抜)を設定。

「新たな農林水産政策を推進する実用技術開発」の概要
目的: 産学官の研究勢力を結集し、幅広い分野の技術シーズを活用しつつ、農林水産業・食品産業等の施策の推進や地域活性化に資する現場の技術的課題の解決に向けた実用技術を開発する。公立試験研究機関、独立行政法人、大学、民間企業、生産者等で構成される研究グループが研究の実施主体となる。

本事業では、「研究領域設定型」、「現場提案型」、「緊急対応型」の3つの研究タイプを設定している。

[1] 研究領域設定型

あらかじめ、農林水産省(技会事務局)が、農林水産政策推進上重要性等が高いものとして、研究領域を設定して進める研究開発

     研究期間:原則3年以内
     研究費:原則5千万円以内

平成20年度においては、次の7つの研究領域を設定して課題を募集している。

     ・競争力強化のための生産システムの開発
     ・新たな可能性を引き出す新需要の創造
     ・地域農林水産資源の再生と環境の保全
     ・農林水産物・食品の輸出の促進および食品産業の海外展開
     ・食品の安全確保の推進
     ・家畜の防疫対策の推進
     ・省エネルギー、新エネルギー対策技術

[2] 現場提案型

基本的に領域設定型で示された研究領域以外の研究で、地域活性化に資する研究開発

     研究期間:原則3年以内
     研究費:原則3千万円以内

[3] 緊急対応型

年度途中で突発的に発生した政策課題に対応して実施する調査研究

     以上、新たな競争的研究資金制度の概要を紹介したが、具体的な内容や応募手順については、農林水産省(http://www.s.affrc.go.jp/docs/research_fund2008.htm)および生研センター(http://brain.naro.affrc.go.jp/tokyo/index.html)のホームページに公募要領等を掲載しているので、そちらをご参照いただきたい。農林水産業・食品産業等の発展には技術革新が不可欠であり、そのために、産学官の研究勢力の結集と機動的な研究の推進が可能な競争的研究資金の積極的なご活用をお願い申し上げる次第である。