2008年3月号
巻頭言
顔写真

野間口 有 Profile
(のまくち・たもつ)

三菱電機株式会社
取締役会長



地域振興のための産学官連携

わが国は少子高齢化、財政再建、社会保障改革、石油・資材高騰など、さまざまな課題に直面し、国民の豊かで安心・安全・健康な生活が脅かされている。これらの問題を解決するためには、あらゆる角度からのアプローチが要求されるが、本稿では大学を核とした地域の産業振興や文化振興を有効な解のひとつとして提言したい。これは、地域の活性化を図ることで、わが国全体の活力が向上することを期待するものである。

地域振興のためには、地域の特長を生かした研究によるイノベーション創出や地域が求める人材育成が有効であるが、ここに知の拠点として大学の活躍の舞台がある。大学を中心として、地域企業や地方公共団体との連携を緊密にし、知の融合を図ることで、地域資源を最大限に活用した効率的なイノベーションシステムを構築することができる。この意味で、私は文部科学省や経済産業省が行っている、大学を核とした地域振興への貢献のためのさまざまな施策に注目し、期待している。これらの施策のゴールは、単に産業振興のみでなく、文化振興という点も忘れるべきではない。

文部科学省では、平成14年度から始まった「知的クラスター創成事業」や平成16年度からの「都市エリア産学官連携促進事業」が、経済産業省では平成13年度からの「産業クラスター計画」などの施策がある。例えば、「産業クラスター計画」では、現在、全国に17プロジェクトがあり、1万社を超える地方の中堅・中小企業と約290校の大学の参加により、産学官のネットワークが形成され、さまざまな新事業の創出が進んでいるとの報告がある。これらの施策により、地域を構成する多種多様な人々が、生き生きと誇りを持って参加できる活動が数多く生まれれば、地域の特長ある産業振興や文化振興、あるいは住民の生活改善や福祉の向上などの豊かさに貢献できるだけでなく、冒頭に挙げた課題解決のための一里塚となる

各施策の効果をより大きくするための課題は何なのか、一度課題全体の「見える化」を行ってみると、より具体的な産学官連携の方向性が見つかるのではないだろうか。