2008年7月号
単発記事
大分工業高等専門学校
東南アジアへのインターンシップ
顔写真

福永 圭悟 Profile
(ふくなが・けいご)

大分工業高等専門学校
機械工学科・地域連携交流センター
長、教授

大分高専は平成19年度に海外インターンシップを実施した。国立シンガポール・ポリテクニック校に専攻科学生2人、マレーシア企業2社に計4人の学生をそれぞれ派遣した。受け入れの母体になったのは、過去20年余りに大分高専で学んだ留学生たちだ。

はじめに

大分工業高等専門学校(以下、本校という)の「異文化体験型国際技術者総合キャリア教育—東南アジアからの卒業留学生を核とした実践的総合キャリア教育—」が、文部科学省の平成19 年度現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)に採択された。以下、平成19 年度に実施した産学連携による「海外インターンシップ」について概要を報告する。

シンガポール・ポリテクニック校でのインターンシップ
写真1

写真1 ロボット製作の打ち合わせ風景



写真2

写真2 SP の学生たちとのショッピング

九州沖縄地区の国立高専10 校は、シンガポールの3つの国立ポリテクニックと包括交流協定を締結している。その中で最も古い歴史を持つシンガポール・ポリテクニック校(以下、SP と呼ぶ)に、専攻科学生2人を2007 年8月に2~4週間派遣した。海外インターンシップとして派遣することは初めての試みであり、また2人の学生も初めての海外渡航であった。海外インターンシップであっても、国内インターンシップと同様に、「学生が主体的に参加するものである」ことを保護者にも確認していただいた。派遣に先立ち、SPから招聘(しょうへい)状を発行してもらった。さらに、SPを通じて、スチューデント・パス(一種の就労ビザ)をシンガポール入国管理局から発行してもらった。宿泊はSP の学生寮。ベッド、リビング、洗濯機、シャワー、キッチンがついており、寮費は4 週間で90 シンガポール・ドル(約7,200 円)であった。

学生たちは、ロボット製作センターに配属され、C 言語を用いてロボットを移動させるプログラムを作成した。問題が見つかるたびに技術職員と英語でコミュニケーションした。言いたいことが言えなかったり、せっかくのアドバイスも理解できなかったりと苦労はしたが、充実した日々だったと聞いている(写真1)。さらに、学生寮では、多国籍の学生と交流した(写真2)。

マレーシア企業でのインターンシップ
(1) 受け入れ企業の調査

本校からは、1984 年以来、東南アジアからの留学生39 名が卒業している。まず、教員5 名がマレーシアとシンガポールへ渡航し、卒業留学生が勤務している日系企業および大分県人会などを訪問し、受け入れを依頼した。その結果、マレーシアで3社、シンガポールでは1社から受け入れ了承を得ることができた。

(2) 学生募集と渡航準備

学内公募とともに説明会を実施した結果、12 名の学生が希望してきた。志望動機、約200 語の英文作成能力、受け入れ企業の業種などから、男子学生4名をマレーシア企業への派遣を決定した。パスポート取得および航空券購入後、企業を経由してマレーシア入国管理局から研修生のためのビザ発行の許可証を入手した。この許可証を携えて、在日マレーシア大使館へプロフェッショナル・ビザを申請した。学生にはビジネスマナー、安全管理などの事前研修を実施した。学内では、危機管理マニュアルと緊急連絡網を作成し、万一の場合に備えた。

(3) 研修内容
写真3

写真3 石油プラント現場見学



写真4

写真4 研修生とCADIX 社スタッフ

受け入れ企業はクアラルンプール市内に位置する、TOYO Engineering &Construction(TOYO E&C)とCADIX Research & Development(CADIX R&D)であった。両社にそれぞれ2 名の学生を2 週間派遣した。渡航費のみ学生負担とし、宿泊費や食費などは企業にご負担いただいた。渡航時には教員が同行し、研修期間中は現地に滞在した。

TOYO E&C 社では、プラント設計の基礎知識を学び、マレーシア東海岸における建設中の石油プラントなどの見学をした(写真3)。研修最終日は、英語でのプレゼンテーションを行った。期間中の前半1週間は日本人社員宅に、後半1週間はマレーシア人宅にホームステイしてマレーシア文化を学んだ。

CADIX R&D 社では、複数のCAD ソフトに関する比較・調査を行うとともに、機能別評価レポートを作成した。同社の宇薄社長は大分県出身であり、高専卒業生やインターネットで就職応募した日本人女性などが社員として活躍しており、学生たちへの刺激は十分にあったと思われる。また、社員に同行し、顧客やローカル企業との打ち合わせなどを体験した(写真4)。

まとめ
写真5

写真5 海外インターンシップ参加学生による
     報告会

参加した学生たちからは、[1]英語によるコミュニケーション能力の必要性を感じた、[2]将来は国際舞台で活躍するグローバルエンジニアになりたい、[3]後輩に海外インターンシップを勧めたい、などの意見があった。学内では、写真5 に示すように一般学生への報告会を実施し、経験の共有化を図っている

今回のような産学連携による事業を通して、本校の教育理念である「人間性に溢れ国際感覚を備え、探求心、創造性、表現力を有する技術者の育成」へ、さらに貢献したい。

謝辞
    TOYO Engineering & Construction 今井社長、村山殿およびCADIX Research & Development 宇薄社長、大柿殿に感謝の意を表する。