2008年8月号
編集後記

終戦後の学童期に主食の配給制度でいつも腹をすかして「生き延びてきた」筆者は、最近、食料の自給率低下を憂い、資源高、特に食料品の価格高騰におののき、人口爆発の今世紀末を思って悲嘆していた。今回の特集により、世界的規模で穀物単位面積当たり収量の増加のノウハウが既に確立されており、過去の実績も人口増に見合っていること、陸地面積の何倍かを占める海洋の有益な新利用法等について知った。大げさに言えば、大型海洋牧場という切り口では、開拓元年となる記念の年である。食料供給の将来について、門外漢である筆者にもよく理解でき、悲観論者を楽観論者に変える程に強いインパクトを受けた。陸・海での食の自給率アップへのヒントを得たような気がする。

(編集委員・稲村 實)

本誌が発行されるころには北京オリンピックが始まってちょうど一週間。日本選手はどれほどのメダルを獲得しているだろうか。この件でちょっとした話題になったことに、NASAと共同開発したといわれている英国社製の競泳用水着がある。古代オリンピアでは体だけが唯一の道具であったが、現在では記録を伸ばすため、そして戦いに勝つために選手は最先端の道具で身を固め、そのことが欠かせなくなっている。このような道具のもとは科学技術の進歩と共に生まれ、まさに産学官連携によって世に生みだされていくことになる。そのようなことを考えながらテレビに向かうのも楽しいのではないだろうか。

(編集委員・遠藤 達弥)

国民の食料問題に関する認識度は低い——農林水産省のある資料に、このタイトルで3つのデータがあった。まず、消費者団体調査。日本の食料自給率を「わかっていない」が86%。次に、企業が実施した「食料自給率についての認識」調査で「20%未満」「20%台」「30%台」がいずれもほぼ4分の1。「50%以上」が8%あった。3つ目は食生活の意識。「栄養バランス」「野菜の多い料理」「手作り」「甘い炭酸飲料は子どもに飲ませたくない」を心掛けていると回答した主婦たちが、実際には、野菜は大変少ない、冷凍食品が頻出、炭酸飲料をケース買い・・・。穀物相場の高騰をきっかけに国民の食への関心が高まっているが、身近なところでやるべきことは多い。大学人も積極的に発言すべきだろう。

(編集長・登坂 和洋)