2008年11月号
イベント・レポート
イノベーション・ジャパン2008-大学見本市
出展・研究成果発表数、共に過去最大

9月16 日(火)から18 日(木)にかけて、5回目となる大学見本市、『イノベーション・ジャパン2008‐大学見本市』(IJ2008)を開催した。今回1番感じたことは、出展側の熱意と、展示会場を常に混雑させた来場側の関心の高さである。イノベーション・ジャパンも定着してきたのだという思いに至った。ここでは本来、客観的な報告が求められるのだろうが、過去すべての開催を担当した者として、大学見本市を見つめ直し主観的に報告する。

大学見本市とは

イノベーション・ジャパンは、すでに多くの方がご存じのこととは思うが、展示会、新技術説明会、基調講演等のフォーラムを柱とした国内最大規模の産学マッチングイベントである。この「大学見本市」は独立行政法人科学技術振興機構(JST)の、研究成果を実用化につなげる活動をサポートする技術移転支援センター事業として開催している。全国の大学等の技術シーズを一堂に集め、企業へ紹介し、産学連携の推進・技術移転のきっかけとなる場を提供することにより、社会が活性化されることを期待している。

特徴

イノベーション・ジャパン‐大学見本市の特徴は次のとおりである。

1. 大学のブースが展示会場一杯に
2.
新技術説明会を毎日6会場で終日開催

ここ数年、JST 東京本部のJST ホールにてほぼ毎週開催している「大学連携新技術説明会」の原点はここにある。実用化を展望したプレゼンフォーマットの統一、質疑応答はなく相談コーナーのみという形態で、多数の新技術を紹介する。初回のイノベーション・ジャパン2004 にて、ほとんどのプレゼンでフォーマットに添った資料を作成していただいたことを受け、その後の新技術説明会での、より徹底した資料作成様式へとつながった。

3.
フォーラムを毎日さまざまな会場で開催

関心のある展示、新技術説明会、フォーラムのすべてを見学し、聴講するのは物理的にも体力的にも不可能なボリュームである。当然わかっているが、出展者を含め開催関係者の、このイベントに対する熱意を汲み、このとおりとなっている。来場者にとっても熱意をもって取り組んでいるプログラムと接する方が実りは多いだろうと考えるからである。とはいえ、展示内容の濃淡があるのも事実であり、この点は課題でもある。

4.
大学ののぼり
写真1

写真1 会場の様子

今回1番目立ったのは、「大学ののぼりが増えた!」ということだ。当初は大学の知財本部出展エリアにちらほら見えるだけであったが、2回目の開催から増え続け、今回は展示会場のどのエリアにも見受けられた。大学にとって1年に1度のお祭り的イベントと位置付けられたということだろうか(写真1参照)。

5.
ブースサイズ

1回目(2004年)から4回目までは研究成果の展示ブースは、横2.5メートル×幅1メートルというサイズであった。今回は展示数を大幅に増やすためブースサイズを縮小し、横2.3m×幅1mとした。イノベーション・ジャパンでは、この横に長いこぢんまりとしたブースが展示会場に所狭しと出展される。この大きさや、出展数が多いことによる通路の通りにくさについては賛否両論があるが、JSTとしては、新技術フェア(1995年~2003年)の開催を通して得た「いかに大学の成果をじっくり気安く見てもらうか」といった点への回答として位置付けている。

6.
JSTとNEDOが共同で主催

主務省の異なるJST とNEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が、企画段階より合同で作業を行い主催している。両機構にとっても、他にない取り組みであり、実作業においては刺激が多々ある。この点も、イノベーション・ジャパンを実のあるイベントにする方向へ活かされていると思いたい。

実績

イノベーション・ジャパン2008‐大学見本市は、出展大学数151、研究成果数399、総展示数471 と過去最大の規模で開催した。その結果は、総来場者数4 万5,345 人を数え、昨年を上回る過去最多の来場を得た。

これまでの結果をまとめると表1および図1のとおりである。研究成果数や大学数と出展規模も年々増加しているが、総来場者数も確実に増えてきた。特に、展示会だけでも3万人を超えた点に注目している。この傾向からも出展側、来場側両者において、このイノベーション・ジャパンが根付いてきたのだとうかがえる。初回のイノベーション・ジャパン2004開催後には、大学関係者から「こんなに人が来てくれるとは思わなかった。来年はもっと出したい」との声を多数聞いた。これらの驚きや、たくさんの人に成果を知ってもらえるという喜び、大学ののぼりの数の増加にも見られる互いを意識した大学間の競争が、開催結果に結び付いているのだろう。

表1 結果のまとめ

表1


図1

図1 来場者数の推移

今後は?

大学見本市には、全国の隠れたシーズを掘り起こし、紹介するという意図があるが、一方で、多数の出展希望があるため選定を行っており、例年応募があっても出展できないケースがかなりにのぼる。

5年も開催が続けば、同じことを繰り返すイベントかと思われる方もいるだろうが、毎年新たな学のシーズを掘り起こして産へ紹介するという、地道な活動を支える効果的なイベントとして、趣旨に忠実で着実な開催が望ましいと考えている。肝心のマッチング状況については、別の機会に報告したい。

(佐藤 比呂彦:独立行政法人科学技術振興機構 産学連携事業本部技術移転促進部 シーズ展開課 係長)

イノベーション・ジャパン2008‐大学見本市
http://expo.nikkeibp.co.jp/innovation/

会  期:2008年9月16日(火)~18日(木)
会  場:東京国際フォーラム(東京・有楽町)
主  催:科学技術振興機構(JST) 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
共  催:文部科学省 経済産業省 内閣府 日経BP社
後  援:日本経済団体連合会 中小企業基盤整備機構 知的財産戦略本部
特別協賛:野村證券 協賛:ジャスダック証券取引所 協力:日本経済新聞社 テレビ東京
入場料:無料
来場者数[人]