2008年12月号
単発記事
公共交通機関の乗り換え情報に新機能
~ジョルダンが東大との共同研究成果を実用化~
顔写真

坂口 京 Profile
(さかぐち・ひろし)

ジョルダン株式会社
取締役 執行役員
品質向上・研究開発担当

公共交通機関の乗り換え情報サービスを提供しているジョルダン株式会社は、東京大学と新しい機能を共同開発した。利用者が駅名をはっきり思い出せないとか、名称の一部しか分からない等の理由で不正確な駅名を入力した場合でも、正しい駅名の候補を探し出すことができる検索手法である。東大の新しい産学連携のスタイル「Proprius21」に基づく研究成果実用化の第1号である。

駅名候補表示機能を搭載

当社(ジョルダン株式会社、本社:東京都新宿区、代表取締役社長:佐藤俊和)は、公共交通機関を利用した出発駅から目的駅までの経路検索など「乗換案内」に関するウェブサービスなどを行っている。利用者が駅名をはっきり思い出せないとか、名称の一部しか分からない等の理由で不正確な駅名を入力した場合でも、高速に正しい駅名の候補を探し出すことができる検索手法について、東京大学と共同で研究開発を行った。2008 年3月12 日から、その成果を利用した駅名候補表示機能を当社の携帯電話向け有料サービス「乗換案内NEXT」に導入した(図1)。「乗換案内」は、携帯電話やPC のウェブブラウザを用いて、利用者が乗車駅と降車駅を指定し、最適な乗換駅や経路を検索することができるサービス。

考案したのは駅名文字列を対象としたSSJoin*1を実現するための文字列類似度検索手法。「乗換案内NEXT」に導入したのは、その手法を利用した駅名候補表示機能である。これは、東京大学の新しい共同研究のスキーム「Proprius21」*2に基づく成果の実用化第1号である。「Proprius21」とは、東京大学がその総合力を活かして提案する、『目に見える成果の創出をめざす新しい価値創造型産学連携共同研究』立案のスキーム。研究の成果に主眼を置き、共同研究に入る前の段階において企業と大学との間で徹底的に議論をして、双方が合意できる共同研究計画を策定するという点がこのスキームの特徴である。

駅名候補表示機能の利用イメージ

図1 駅名候補表示機能の利用イメージ

膨大なログデータを活用

共同研究は、東京大学生産技術研究所附属戦略情報融合国際研究センターの相良毅助教、喜連川優同センター長・教授により、ジョルダンの「乗換案内」の膨大なログデータを活用して行われた。実際に「乗換案内」の利用者が入力した、誤りを含む駅名文字列のデータを用い、誤りを含む駅名と正しい駅名の文字列を結合させるSSJoinを実現するための文字列類似度検索手法に基づく高速クリーニング手法を開発するとともに、本手法を評価し、有効性を確認することができた。

今回、産学連携を進めるに当たっては、当社として産学連携研究を行った実績がなく、またソフトウエアの産学連携研究の事例もあまり多くないため、研究そのもの以外の部分でやや時間を要してしまう面があった。しかしながら、社内では他の業務に追われて進まない課題について、大学の協力を得ることで解決が図れた上、高度で専門的な視点からの評価も得ることができた。

近年、携帯電話でのインターネット利用者の増加とともに、より使いやすいサービスが求められる中、利用者の検索の手間の削減と利便性向上に貢献できると考えている。

*1
SSJoin(Set Similarity Join)は、2つのテーブルに含まれるキー文字列同士がどの程度重複しているかによって類似度を決定し、類似すると判断されたテーブルのレコードを結合する方法。

*2
http://www.ducr.u-tokyo.ac.jp/proprius21/index.html