2009年3月号
単発記事
京都大学が初の欧州事務所
顔写真

木村 亮 Profile
(きむら・まこと)

京都大学 産官学連携センター
教授


京都大学は欧州地域に開設する初めての事務所として、産官学連携欧州事務所を英国ロンドンに開設した。国際産官学連携活動の在欧拠点として設置するもので、英国のみならず欧州各国の先端大学および国際企業との国際産官学連携を企画・立案・実行する役割を担っている。

学学連携を基軸とした国際産官学連携の推進

京都大学では、文部科学省の「産学官連携戦略展開事業(戦略展開プログラム)」(平成20~24年度)による「国際的な産学官連携活動」事業を推進している。本事業においては、海外大学・企業との共同研究の促進、国際技術移転の推進等の国際産官学連携活動を展開している。

京都大学の国際産官学連携活動の特徴として、単に産(海外企業)と学(京都大学)との連携にとどまらず、海外大学を交えた「学学産連携」(あるいは「産学学産連携」)を推進している。「学学産連携」を推進する背景としては、学術分野における京都大学の高い評価を踏まえ、また研究者・学生交流等を通じて培ってきたネットワーク、さらには個々の研究者の人的ネットワークをも最大限に活用した全学的活動として国際産官学連携をとらえていることと、現地の商的習慣・法体系等を熟知した信頼できるパートナーが必要との考えに基づいていることが挙げられる。

「学学産連携」の第1段階として、既存の学術交流協定校に加え、欧米の有力大学・研究機関との間で新たに部局間協定を締結し、また共同研究を推進する等の形で「学学連携」を基軸にしたグローバルネットワークを構築しつつある。続く第2段階では、学学連携に基づく具体的な活動として、産官学連携にかかわる情報共有、イベントの共催、さらには相互マーケティング等を適宜実施し「学学産連携」の具体化を図る予定である。

海外事務所開設に至った背景およびロンドンに開設した理由

前述の「学学連携」および「学学産連携」の実現に当たっては、連携相手選択のための調査、連携に至るまでの交渉、あるいは連携に基づく個別案件の交渉・調整が必要である。交渉・調整においては担当者当事者間の信頼関係構築が最も重要であり、そのためには密接なコミュニケーションによる十分な意思疎通が肝要である。情報通信手段が発達した現在とはいえ、依然としてF2F(Face to Face)ミーティングが最適な意思疎通手段である。必然的に、京都大学からの渡航による先方訪問が数多くなり、今後の活動本格化に向けて、稼働面および費用面での負担、および移動時間・時差による対応遅れが懸念される状況となってきた。そこで、国際産官学連携活動の最前線基地として、海外事務所の開設を検討するに至った。

開設場所としては、有力な連携先候補が比較的近距離(航空機で2時間以内)に集中し、また高等教育の位置付けや契約時の商習慣の面でも(米国と比べると)日本に近いと思われる欧州をまず選択した。欧州内でロンドンを選択した理由としては、各種情報の最大の集積地であること、英国政府が科学・技術の発展に大変力を入れていることに加え、京都大学の学術交流協定校も多いこと、英語圏であること等が挙げられる。

産官学連携欧州事務所の狙い・役割

前述のように、産官学連携欧州事務所は京都大学が進める国際産官学連携活動の最前線基地としての役割を担っている(図1)。在欧州という地の利を活かし、英国・欧州地域の大学・企業および科学技術政策等について、きめ細かく情報収集・情報集約した上で、連携先あるいは連携候補とタイムリーかつきめ細かい交

図1

図1 国際産官学連携活動における欧州事務所の位置付け


図2

産官学連携欧州事務所内の様子

渉・調整を図っていく予定である。また、幅広い人脈を形成し、産官学各界のキーパーソンとの間で信頼関係を醸成することにより、英国・欧州地域における将来の産官学連携活動をスムーズに進めるための素地形成も期待している。これらの活動に加え、産官学連携活動にとどまらない京都大学国際化に資する活動として、例えば、大学間共同研究の推進、在欧卒業生のネットワークづくり、海外インターンシップの推進等も支援していく予定である。

今後の活動予定

産官学連携分野における協力覚書・協定を締結したブリストル大学、MRCT(英国医学研究協議会 技術移転会社)と協力し、双方の技術情報交換、共催イベント開催等の形で連携を深めるとともに、学学産連携の素地を固める。また、独仏等の欧州大陸を中心に、有力大学・研究機関を調査し、学学連携先の拡充を図る予定である。

産官学連携欧州事務所開所式

京都大学は、産官学連携欧州事務所の開所を記念したセレモニーを松本総長出席の下、主に英国在住の産官学各界の皆さまをお迎えして、2009年2月13日(金)夕刻に、英国Royal Societyにて開催した。今後、同事務所が英国および欧州地域で活動していくに際し、英国および在英の産官学界の協力・支援を仰ぐことも多いと予想されることから、京都大学および事務所をPRする絶好の機会となった。

図3

開所式の模様

欧州事務所の概要
名称: 京都大学 産官学連携欧州事務所
(Euro Representative of Kyoto University SACI)
住所: NTT Europe Kyoto University Collaborative Project Room
c/o NTT Europe, 3rd floor, Devon House
58-60 St. Katharine’s Way, London, E1W1LB, UK
メールアドレス:saci@kyoto-u.eu
主な設備: 会議卓、電話、FAX、PC、プリンタ等(来客によるインターネット接続も可)