2009年3月号
編集後記

システムには必ず作られた目的がある。時間が経つと、環境変化や当初目的の達成状況等により、システムの機能自体を変える必要がある。国立大学の法人化後、各大学が設置し活動してきた知財本部や産学連携推進本部も例外ではない。これまで、知財活用・技術移転から始まり、共同研究による外部資金獲得、地域連携、国際産学連携推進などが課題として国から示され、それらに対応するシステムを構築してきた。「なにをするか(what)」を提示されて「どのようにするか(how)」に明け暮れてきた感がある。しかし、今求められているのは大学自身のwhat対応だろう。産学官連携推進組織を見直している大学もあるが、その際、システムの目的、とりわけ顧客満足度の視点で検討されるべきであり、時々企業側からの評価を実施する必要があるのではないか。

(編集委員・高橋 富男)

昨年は食品偽装、毒物混入事件に加え、バイオ燃料が投機的な食物価格の高騰を誘発するなど、さまざまな形で食が脅かされた。低い食料自給率や硬直した農産物流通システムも浮き彫りになった。世界総人口は70億人に迫り、遺伝子組み換え作物(GMO)への依存度は高まる一方だ。ところが、世界最大のGMO輸入国といわれる日本では、それを受容する空気が甚だ薄い。にもかかわらず、誰もがそれと知らずにGMOを口にしている。原材料への混入率が5%以下ならGMO使用の表示義務がないからだ。GMOの国内生産が実現しそうにないならばというわけで、新しい品種改良法(DNAマーカー育種法)で稲の新品種が開発され、これを掲げるベンチャーが健闘している。消費者に安心して受け入れられる食の確保に向けて農政が試される一年になりそうだ。

(編集委員・谷田 清一)

金融危機に陥ってから農業への関心が一段と高まり、ブームになっている。今、熱いテーマは、都市で職を失った人々の雇用の受け皿としての農業・農村への期待。政府、自治体は一斉に施策を打ち出している。しかし、佐賀県唐津市在住の農民・作家の山下惣一さんは、そもそも農山漁村に若者が残れず都市に移動しなければならない社会構造こそが根本原因で、その本質から目をそらし、面倒を見きれないから田舎へ押し付けるのは都市・企業本位のご都合主義ではないか、と農業紙に書いている。不況を脱したらどう展開するのか? 今月号の特集「農の力 食の夢」で取り上げた各地の加工品開発による農業活性化は、地域の特性、特産物に着目し一歩一歩進むのが農業の自立、再生への1つの道であることを教えているようだ。

(編集長・登坂 和洋)