2009年5月号
特集  - 育て新人 コンテンツ産業新潮流
早稲田大学芸術科学センター
プロダクション、現像所と大容量ネットワーク
顔写真

坪川 雅彦 Profile
(つぼかわ・のりひこ)

早稲田大学
芸術科学センター 事務長


2006年4月、早稲田大学は独立行政法人情報通信研究機構(NICT)が運営してきた本庄情報通信研究開発支援センターを取得し、この地を「早稲田大学における映像教育・研究の拠点」と定め「早稲田大学芸術科学センター」を開設した。

早稲田大学芸術科学センターはGITS大学院国際情報通信研究科)、GITI(国際情報通信研究センター)をその中核とし、安藤紘平研究室の大学院生を中心にした「映像制作の実証研究」「映像人材の育成」を旗艦とする一方、映像業界への貢献という形で、早稲田大学の「知の資産」を社会に還元することを目的としている。

本センターは、JR上越新幹線「本庄早稲田駅」から徒歩10分の場所に約5,000 坪の敷地を有し、豊かな自然環境の中で集中して撮影・編集作業ができるという強みを持っている。468平方メートルの広さと10メートルの高さ、合成用ブルーバックを備えた撮影スタジオ、InfernoやSmoke、Lustreなどの編集機材をそろえた編集室や総合調整室、MAスタジオなどをそろえている。

特筆すべきは、本学が運営管理する大容量ネットワークを利用して、都内の主要ポストプロダクションや現像所を結ぶネットワークを構築したこと。2009年1月にはこうした環境をもとに東宝との提携を結び、今後の映像業界に新たなるシステムを構築することや、21世紀の優れた映像人材育成のためのプロジェクトのスタートを切った。この提携は産学連携の大きな事業として、注目を浴びている。

今までに、本学特命教授の篠田正浩監督の「スパイ・ゾルゲ」(2003年) をはじめとし、2008年には樋口真嗣監督「隠し砦の三悪人」、三谷幸喜監督「ザ・マジックアワー」、堤幸彦監督「20世紀少年」、福澤克雄監督「私は貝になりたい」(いずれも東宝)など多くの話題作の特撮・編集部門にかかわってきた。デジタルシネマの進化によって、特撮・編集が映画に欠かせない今、本センターが映像業界に果たせる役割は大きなものがあると確信をしている。

埼玉県本庄市と「映像のまちづくり」

また、埼玉県本庄市と早稲田大学の提携の1つ「映像のまちづくり」プロジェクトにも積極的に参加し、地域の方々との密着した連携を図っている。2008年の文部科学省私立大学学術研究高度化推進事業では、安藤研究室の大学院生・河原伸亮監督による「阿房ウイスキー」を制作し、本庄市をはじめ、彩の国本庄拠点フィルムコミッションの多大な協力のもとに、地元での撮影を主体とした映画づくりを行い、本庄市民の多くの方々にご協力をいただいた。

本学における映像教育の結果が、地域との連携による映像作品という形で世の中に出ることが、本センターの存在意義の1つでもある。若く優秀な才能を創出することで、日本の映画界を活性化させ、それが社会へ文化貢献という形で還元される、というモデルは、早稲田大学という教育機関であるからこそ可能な事業であり、今後も大きな推進力で、この事業を進めていきたいと考えている。

あらためて、関係各位のさらなるご理解とご協力をお願い申し上げる。