2009年6月号
特集  - 産学官連携の新たな挑戦
総合科学技術会議 環境・エネルギー分野の取り組み

内閣府 政策統括官
(科学技術政策・イノベ ーション担当)付
環境・エネルギー担当


温室効果ガス削減に向けた取り組みの概況

国際社会において温室効果ガス排出量の大幅削減が喫緊の課題となっており、わが国は京都議定書における削減約束達成に向けて取り組んでいる。平成20 年7 月の北海道洞爺湖サミットにおいて、G8 は2050 年までに世界全体の排出量の少なくとも50%削減を達成する目標を、UNFCCC*1のすべての締約国と共有し、採択することを求めることで合意がなされた。また、本年12 月にCOP*215(於:デンマーク)が開催され、そこで次期枠組みが決定される予定である。既に、米国は2005年比2020 年で14%削減、欧州は1990 年比2020 年で20%削減という目標を掲げているが、わが国では「地球温暖化問題に関する懇談会」の「中期目標検討委員会」で中期目標を検討し、総理大臣が6 月ごろまでに中期目標を決定する予定となっている。

温室効果ガス排出量の削減には科学技術への期待が大きく、海外でもさまざまな方針が打ち出されている。米国ではオバマ新大統領が「NewEnergy for America」を掲げ、クリーンエネルギーに今後10 年間で1,500億ドルを投資し、500 万人の雇用を生み、温室効果ガスを2050 年までに1990 年比で80%削減する等の目標を公表している。EU では、2007 年11月に温室効果ガス排出削減に向けた技術開発の取組方針「Strategic EnergyTechnology Plan(SET-Plan)」をEU 諸国に向けて提案し、EU 全体のエネルギー分野の技術開発の総合的な計画書として位置付け、2008 年1月に、さまざまな技術や部門における気候変動対策の政策である「Energy andClimate Change Policy Package」を発表し、再生可能エネルギーの比率を2020 年までに最終エネルギー消費の20%とする導入目標等を示している。

総合科学技術会議の取り組み

総合科学技術会議では第3 期科学技術基本計画において、環境分野を「重点推進4 分野」の1 つ、エネルギー分野を「推進4 分野」の1 つとして重点を置き、第3 期科学技術基本計画に示した「環境と経済の両立」等の政策目標の実現へ向けて「分野別推進戦略」を策定し、研究開発の推進を図っている。平成20 年度は第3 期科学技術基本計画の中間年度であったため、中間フォローアップを実施し、両分野の研究開発はおおむね順調に進んでいることを確認している。

また、昨年5 月に低炭素社会実現に向けたわが国の技術戦略となる「環境エネルギー技術革新計画*3」( 以下「革新計画」) を策定し、第75 回総合科学技術会議にて決定・意見具申を行った。革新計画では低炭素社会の実現に向けて、世界全体の温室効果ガスの排出を2050 年までに半減するという厳しい目標の達成には、短中期的には既存技術の向上と社会への普及が、中長期的には革新的な技術の開発が重要な鍵となるとし、エネルギー供給分野ならびに産業分野、家庭・オフィス等の民生分野、運輸分野等のエネルギー需要分野において、温室効果ガス削減に貢献する主要な技術を取り上げ、その技術開発のロードマップと普及方策を示した。その後「低炭素社会づくり行動計画」(2008 年7 月19 日閣議決定)において、革新計画に示された技術ロードマップ等に、今後5 年間で300 億ドル程度投入することが明記され、総合科学技術会議も平成21年度の資源配分方針において、温室効果ガス排出削減に資する予算への重点化を行い、研究開発の促進を図っている。

さらに、本年2 月の総合科学技術会議において「2009 年の科学技術政策の重要課題」の中で「環境・資源制約を新たな成長の原動力に」を、本年4月の同会議において「将来の成長に向けた科学技術政策の重要課題」の中で「低炭素社会の実現」を掲げ、環境エネルギーイノベーション創出のためには、産学官連携体制による研究開発の加速化やグリーン社会インフラと環境先進都市により緩和策と適応策のベストミックスを図ることが必要であることをうたっている。

最後に

6 月20 日(土)から開催される「第8 回産学官連携推進会議」において、分科会「低炭素社会移行に向けての産学官の新しい潮流」を開催する。本分科会では、各界の有識者により、わが国が世界に先駆けて低炭素社会を実現するために何が必要であるか、そのために必要な産学官の役割や連携の在り方、社会システム改革等について活発な議論が行われるので、当会議へご参加される方は本分科会へ足をお運びいただきたい。

*1 :UnitedNations Framework Convention on Climate Change:
国連気候変動枠組条約

*2 :Conferenceof the Parties:
締約国会議

*3 :環境エネルギー技術革新計画:
http://www8.cao.go.jp/cstp/output/080519iken-2.pdf