2009年7月号
編集後記

地方の国立大学に出向して、早いもので約1年9カ月が過ぎました。文字通り大学におきまして日々勉強させていただいております。大学の「教育研究の質の向上」を図るとともに、大学を通じていかに「科学技術駆動型の地域発展」を図るか、ということに自分なりに努力してきたつもりです。

私は政治が国民に「勇気と希望」を、行政が「安全と安心」を供すべきであるならば、大学は知識と知恵をはぐくみ「夢とチャンス」を手に入れてもらう場ではないかと認識しています。わが国が知識基盤社会(Knowledge-based Society)を標榜(ひょうぼう)している限り、大学の重要性は増すばかりです。産学官連携、大学間連携、理数教育の教員養成強化など、この大きな流れを失速させることなく、皆さん、共にポジティブに頑張りましょう!

(編集委員・佐野 太)

「大地の咆哮(ほうこう)」(杉本信行著)を読んだ。著者は外交官人生の大半を中国にかけ、在上海総領事を勤めあげた。四人組以降、わが国の経済援助が大きく貢献したことが書かれている。一方、経済発展が生んだ負の遺産もある。唐代以来続いている森林破壊に拍車を掛け、わが国も間接的に被害を受けることになった。著者は、黄砂・酸性雨等を中国に任せておいても道は遠いと言っている。その意味で、中国の環境問題を解決することが日本の環境を守ることにもつながることを示唆している。まずは砂漠の緑化、そして水問題、大気汚染。1つ1つ解決していくことが両国の友好と安全につながることになりそうだ。これらは、わが国の産学連携のテーマであり、日本版グリーンニューディールとして進むべき道と確信した。

(編集委員・平尾 敏)

第8回産学官連携推進会議のテーマは「オープンイノベーション型の産学官連携による新たなる挑戦」。「・・・による・・・」という表現は、3者の総力結集が“手段” であることを示している。目的は、科学技術で世界の課題解決に貢献し、そのことをわが国の成長の糧にすることである。考えてみれば、手段という視点はもっともなものであるが、産学官連携が新たなステージを迎えていることを象徴的に物語っている。これに対し、前号の特集タイトルは「産学官連携の新たな挑戦」。ファンディング機関、大学、あるいは行政機関は、連携を“目的” 的にとらえざるを得ない面があり、そこに力点を置いた。とはいえ、これらの機関でも出口、課題解決からの発想を迫られている。激動の予感がする。

(編集長・登坂 和洋)