2009年8月号
巻頭言
顔写真

結城 章夫 Profile
(ゆうき・あきお)

山形大学 学長




地方国立大学の役割

全国の国立大学は、5年余り前の平成16年4月に法人化され、合計87の国立大学法人となった。

法人化前の国立大学は、すべて文部科学省に所属する国の機関であった。大学には、憲法で保障された「学問の自由」があり、法人化前も、教育や研究の進め方は大学の自治にまかされていた。一方で、毎年の予算編成や幹部職員の人事などの経営的なことは、文部科学省が一元的に担っていた。法人化する前の国立大学には、経営は不要だったのである。

法人化によって、国立大学に対し、以前からの「学問の自由」に加えて「経営の自由」も与えられることになった。同時に、経営をした結果の責任も、厳しく問われることになったのである。

現在、全国にある国立大学法人は、その機能や規模はさまざまであるが、相互に有機的な連携を保ちながら、国立大学全体として最大のアウトプットを出していく必要がある。そのためには、それぞれの国立大学法人が自分の立ち位置や役割をはっきりとさせ、それぞれが最大の成果を出せるように、一層の改革の努力をしていくことが求められている。

私は、文部科学省を退官して、平成19年9月に、典型的な地方の国立大学の1つである山形大学の学長に就任した。その経営に携わってみてつくづく思うことは、山形大学がこの地域で果たしている役割の大きさである。山形大学は、これまで、山形の地域医療や教員養成の中核を担ってきたし、企業の経営者や技術者、地方自治体の幹部職員、農業の指導者などを多数輩出してきた。これからもこういった人材養成機能をしっかりと担っていく覚悟である。また、地方の状況を考えれば、子弟を大都市に出し、仕送りすることには多大な困難が伴う。自宅から通えるところにしっかりとした大学が存在することは、地方にとっては、基本的な社会インフラである。

私は、山形の地域に根ざして優れた教育を行い、地元山形、祖国日本、そして人類全体のために貢献できる人材をできるだけ多く社会に送り出していくことが、山形大学の任務だと考えている。そして、山形大学が自己改革を進めて法人としてのパフォーマンスを高め、持ち場をしっかりと守り、与えられた任務をきちんと果たしていくことが、日本の将来に貢献し、国民の負託に応えていく道であると確信している。