2009年9月号
単発記事
3次元画像構築システムを開発
-ヒューリンクスが千葉大から技術導入-
顔写真

飯島 聖宏 Profile
(いいじま・まさひろ)

株式会社ヒューリンクス
技術部


国内外のサイエンス系ソフトウエアのサポート、カスタマイズ、ローカライズなどを行う株式会社ヒューリンクスは3次元画像構築システムのパッケージソフトを発売した。この製品には千葉大学の五十嵐辰男教授、前佛聡樹氏の特許技術を使っている。技術導入の背景は?

弊社(株式会社ヒューリンクス)は国内外のサイエンス系ソフトウエアのサポート、カスタマイズ、ローカライズ、販売および取り扱い製品を中心としたソリューションおよびインテグレーションの提供を主な事業にしている。人間の素晴らしさは思考し、創造できること、そして新たな明日を切り開いていけること。人間の持つこの優れた能力―知的創造性―を支援する製品、また、働く人、使う者に、より快適な環境を提供するとともに生産性を向上させる、そんなよりすぐりのソリューションを提供することを通じて社会に貢献することを目標にしている。本稿では、千葉大学・五十嵐辰男教授、前佛聡樹氏の特許技術を使用した製品開発について紹介する。

写真1

写真1 内視鏡映像の平面展開ソフトウエア「Endo
     Flatter」

この産学連携は、五十嵐教授らの技術「3次元画像構築装置及び方法並びにプログラム」について、弊社にてユーザーインターフェースの追加、改良、マニュアルの作成といった製品化を行い、パッケージソフトウエアとして発売した(写真1)。

使用する技術について

内視鏡の動画画像を平面展開し、2次元および3次元表示する技術である。CTやMRIと異なり色情報が失われず、解像度の面でも優れた画像を得ることができる。観察対象と内視鏡の距離情報が保持されているので、立体情報を持った3次元画像を表示できることもユーザーにとって大きなメリットになると考えている。付属のSurface Viewerを使用して展開した画像をマウス操作で回転させ、見たい方向からじっくり観察することが可能。これは内視鏡動画では実現できない、この製品のみのメリットである。

技術を知ったきっかけ

千葉大学フロンティアメディカル工学研究開発センターの特別研究員でもある、株式会社メディカルR&D社の宮武哲也代表取締役からサイエンスソフトウエアの長年にわたるサポート、販売といった取り扱い実績を評価され、紹介していただいた。産学連携での製品開発はヒューリンクスとしては初めてのケースであり、若干の不安はあった。宮武氏から技術の概要を伺った時点で担当者がそれにほれ込み、千葉大学にて五十嵐教授が行ってくださったデモを見て、ぜひわれわれの手で世に出したいとの思いを強めた。

特許の権利関係

一般的と思われる使用許諾契約を締結している。共同開発や共同の権利化という形はとっていない。

開発の推移と技術的課題

われわれが製品化に取り組んだ時点で、すでにエンジンの部分はほぼ完成していた。そのため、われわれが行ったのはユーザーインターフェースの追加と変更およびマニュアルの作成、パッケージ化だった。課題といえば、ソフトウエアの操作が本業ではないユーザーの方を想定して、いかに簡単に、直感的に使いこなせるユーザーインターフェースにするか、という点がほとんど唯一にして最大のものだった。これに関しては社内で何度も試作し操作してみて改良を重ねてきた。

テストを繰り返す中で、たぶんユーザーが感じるであろう機能面の改善点が見つかったため、エンジン部分にも多少の改良を加えた。この改良に当たっては千葉大学側とわれわれの開発担当者間でコミュニケーションを取り、千葉大学側に大変ご協力いただいた。何度かベータ版を作成し、千葉大学の五十嵐教授、前佛氏、メディカルR&Dの宮武氏にもレビュー等協力いただき、ようやく製品化に至った。

事業化の見通し

最初に千葉大学でお会いして技術を紹介くださってから1年ほどかかってしまったが、7月に発売することができた。素晴らしい技術を使用させていただいているので、この製品を機会あるごとに紹介し、より多くのユーザーの方々の研究や作業の助力ができるように活動していきたい。また、五十嵐教授からご要望いただいている英語版についてもできるだけ早い時期にリリースできるようにしたいと思っている。

これまではパッケージ化された製品のみを対象に新製品開拓をしてきたが、今後はこういった大学などの技術も対象としていきたい。