2009年10月号
連載4  - 平成20年度特許出願技術動向調査について
(前編)
ライフサイエンス、情報通信など8分野の12テーマを分析
顔写真

田内 幸治 Profile
(たうち・こうじ)

特許庁 総務部 企画調整課
技術動向班 技術動向係長


特許庁が毎年実施している「特許出願技術動向調査」は、今後の進展が予想される技術テーマを選び、内外の特許情報を基にその技術動向を多角的に分析している。平成20年度調査の結果を紹介する。

はじめに

特許庁では、迅速かつ的確な特許審査のための基礎資料とともに企業や研究機関等における研究開発戦略や知的財産戦略等のための基礎資料を目的として、平成11年度より特許出願技術動向調査を実施している。ここでは、前編と後編の2回にわたって、平成20年度特許出願技術動向調査の結果について紹介する。

特許出願技術動向調査とは

特許出願技術動向調査とは、第3期科学技術基本計画(平成18年3月閣議決定)において重点推進4分野および推進4分野と定められた8分野(ライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料、エネルギー、ものづくり技術、社会基盤、フロンティア)を中心に、今後の進展が予想される技術テーマを選定し、内外の特許情報を基に多面的に技術動向を分析したものである(図1)。

図1

図1 特許出願技術動向調査の概要

調査結果については、特許審査の基礎資料として活用するとともに、企業や研究機関等における研究開発戦略策定の際の検討用資料として、また、産業政策、科学技術政策の基礎資料として、産学官に広く情報発信*1している。

平成20年度特許出願技術動向調査結果の概要

平成20年度は次ページ以降の表1の12テーマについて調査を実施した。この結果から、各技術テーマにおける各国(地域)の出願人の出願動向や、出願先国(地域)における出願動向の違い等を把握することができる。

ここで表1の見方について、ライフサイエンス分野の「再生医療」のテーマを例に説明する。

まず「日米欧中韓への出願」について見ると、米国37%、日本27%、欧州19%とある。これは、日本、米国、欧州、中国、韓国の5つの国・地域に特許出願された件数の合計について見た場合、その中で米国の大学・研究機関、企業、個人等からの特許出願件数が37%のシェアを占めているという意味である。同様に日本からの出願件数のシェアは27%、欧州からの出願件数のシェアは19%で続いていることを示している。また「日本への出願」では日本63%、米国20%、欧州10%とあるが、これは日本に特許出願された件数の合計について、日本からの出願件数のシェアは63%、米国からは20%、欧州からは10%という意味である。「米国への出願」「欧州への出願」についても同様である。

次に「ポイント」について見ると「日米欧中韓(全体)への特許出願において、米国籍が最も高い出願件数シェアを占め、次いで日本国籍、欧州国籍と続く」等とあるように、テーマごとの調査結果のポイントが把握できる。

最後に表1の下の「備考」について見ると、「再生医療」についての出願件数シェアの調査対象期間は出願年(優先権主張年)ベースで2002―2006年であることがわかる。この「備考」にあるように、この調査対象期間はテーマによって異なっている。

表1の調査結果概要について分野ごとで見ると「環境・エネルギー」「ナノテク・材料」「ライフサイエンス」「ものづくり技術」分野における合計6テーマについては、いずれも日本、米国、欧州の3極が出願件数シェアにおいて上位3位を占めている。しかし「情報通信」分野では、「情報機器・家電ネットワーク制御技術」において韓国からの出願件数シェアが15%を占め(「日米欧中韓への出願」)、日本(58%)に次いで2位である。また、「デジタルカメラ装置」や「多層プリント配線基板」においても、韓国からの出願件数のシェアは3位(「日米欧中韓への出願」)となっている。

連載後編である次回は、平成20年度調査テーマの1つである「太陽電池」を例にとり、平成20年度特許出願技術動向調査結果の内容について具体的に説明する。

表1 平成20年度特許出願技術動向調査結果の概要(1/2)

表1/2


表1 平成20年度特許出願技術動向調査結果の概要(2/2)

表2/2

*1
調査結果の要約版は、特許庁ウェブサイトで公開している( http://www.jpo.go.jp/shiryou/gidou-houkoku.htm)。報告書については、国立国会図書館、各経済産業局特許室および沖縄総合事務局特許室、各都道府県の知的所有権センター、特許庁図書館にて閲覧可能である。