2009年11月号
特集2  - 第1回イノベーションコーディネータ表彰
イノベーションコーディネータ賞・科学技術振興機構理事長賞 間野純一氏
独自の開発型企業評価システムをマッチングに生かす
顔写真

間野 純一 Profile
(まの・じゅんいち)

財団法人 千葉県産業振興センター
企画振興部新事業取引支援室
チーフプロジェクトコーディネーター

●受賞理由
企業ニーズを熟知し、それにマッチした大学シーズを選び出す手法を実践するとともに、独自の開発型企業評価システムを開発し、マッチングに成果を上げるなど、革新的な活動を行った。

筆者は、製鉄会社に入社後、研究・工場管理・自動車用鋼材開発、本社、香港駐在、自動車用鋼材ほか各種鋼材の技術サービスを歴任し、その間に中小企業の実態を把握する機会に恵まれた。

平成11年7月、財団法人千葉県産業振興センター東葛テクノプラザの産学官連携コーディネータに着任後、関東経済産業局とともに、千葉、埼玉県下の中小企業をまわり、ものづくり系企業のための東葛・川口(現:東葛川口つくば(TX沿線))地域新産業創出推進ネットワーク、基盤的技術産業活性化研究会と2つの分科会を立ち上げて、当地域の活動的中小企業のニーズ把握に努めるとともに、地域中小企業の新事業・開発支援に携わった。

表1 事業化に成功した事例

(例1) AH株式会社からTi板の溶接リングを用いる電解銅箔用装置製造開発の相談があり、溶接部の塑性変形、熱処理に関してそれぞれのシーズを有する千葉工業大学Y教授、県公設試験場と共に、経済産業省の平成13年補正地域創造技術補助金に応募し、採択後に、研究開発の推進にかかわった。結果として、同社は、本研究開発に成功して新事業に参入し、収益を上げている。
(例2) 株式会社SDから、今後の中古ビルの解体工事の増加を見込んで、小型破砕機開発の相談を持ち掛けられた。そこで、日本大学生産工学部K教授、Y助教授に相談・協力を要請し、平成14年度財団法人千葉県産業振興センター産学官共同研究委託事業への応募を勧め、採択後に研究開発の進捗管理を行った。また、平成15年には、その研究結果を基に、さらに東京理科大学を加えて経済産業省の平成14年度補正創造技術研究開発費補助金への応募申請ならびに、研究開発を支援した。その結果、同社は、破砕機開発に成功し収益を上げている。

平成12年から21年までに獲得した主な公的資金案件36件、獲得金額は9.5億円強で、企業の売上金額は把握されているだけで29億円に上る。また、事業化に成功した案件は13件、ある程度事業化した案件は9件、事業化進行中および未着手の案件10件、失敗4件で、事業化成功率は比較的高いといえよう。表1のような例がある。

図1

図1 産学官連携コーディネート活動

千葉県産業振興センターのコーディネーションの特徴は、あくまで中小企業のニーズと市場にこだわり、そのニーズに即した大学、研究所のシーズを引き合わせる方式にある(図1)。筆者はまた、これまでの経験を基に、中小企業の人、金、もの(技術、製品)に関する要因を、AHP(Analytic Hierarchy process:階層化意思決定)法を利用して重み付けする企業の開発力評価方法を考案した。