2010年1月号
編集後記

平成22年度予算の事業仕分けにおいて、文部科学省が要求した「地域科学技術振興・産学官連携」項目が「廃止」と仕分けされるなど、総じて科学技術予算は厳しい評価を受けた。一方、これまでの一連の新政権の動きによれば、わが国が直面する課題である高齢者、生態系、低炭素等に対して、元東京大学総長の小宮山宏先生が提案する、いわゆる「プラチナ構想」には前向きであることがうかがえる。「産学官連携ジャーナル」は、「産学官連携活動」の専門家間の専門誌ではなく、「産学官連携活動」のコミュニティーを形成する情報誌になることを目指してきた。今やこれをさらに進化させ、「産学公連携活動」に資することを問われているのではないかと思われ、これへの対応が課題と受け止めている。

(編集委員長・藤井 堅)


また今年も、何もなかったかのようにいつもと同じに新しい年がやってきました。しかし、昨年は産学官連携に関連する分野においても流行語となるような大きな出来事が起こり、少し立ち止まって考えるという機会を与えられました。そのような中、特集で取り上げているように、私の専門でもある「地域」においても大学と地元が一体になった取り組みが行われ、根付き始めてきています。ただ、それは大学、企業、行政などといった組織の間のことで、真に応えるためには、組織から個人へと目を向け、個々人に浸透していくような仕組みとつながりが必要となってきます。科学の分野ではサイエンスカフェなどの取り組みが行われていますが、イノベーションについてはこれから、今年の目標です。

(編集委員・遠藤 達弥)


時代の大きな変わり目は、人々に希望より不安を抱かせるものなのだろうか。半世紀も続いた経済・社会システムで形成された複雑な利害の糸を解きほぐすのは容易でない。新しい時代の像はまだくっきりとは見えない。しかし、不安定な社会と経済停滞・国際競争力低下を放置するわけにはいかない。大きな課題の解決策を、成長戦略にどう結び付けるかが科学技術の2010年のテーマ。低炭素社会への取り組みはその1つだ。

科学技術の情報発信力も問われている。本誌は、大きな組織の産・学・官関係者だけでなく、町や村、中小零細企業、農林漁業の関係者、さらに一般のビジネスパーソンも念頭に誌面をつくっている。本誌の役割はこれまで以上に大きくなっていると自覚している。本年もよろしくお願い致します。

(編集長・登坂 和洋)