2010年3月号
単発記事
熊本は太陽光発電の先進県を目指す
顔写真

竹上 嗣郎 Profile
(たけがみ・しろう)

熊本県商工観光労働部 次長
くまもとソーラープロジェクト
チームリーダー

熊本県は太陽光発電関連産業を新たなリーディング産業に育てることを目指している。

2009 年6 月に熊本県蒲島郁夫知事は、県政の重要課題である太陽光発電関連産業の振興と普及拡大に対応するために県庁内横断的な特命組織として「くまもとソーラープロジェクト」を発足させた。

本県は、住宅用太陽光発電システムの普及率が全国2位(平成19 年度)であり、すでに太陽電池製造メーカーである富士電機システムズ株式会社と株式会社ホンダソルテックの2 社が立地している。1967 年に三菱電機株式会社のIC 工場が進出して以来、本県はシリコンアイランド九州の中心として半導体産業が発展してきたが、これまでの半導体関連産業の集積を活用しながら、太陽光発電関連産業が、自動車、半導体に次ぐ本県の新たなリーディング産業に成長することが期待されている。「くまもとソーラープロジェクト」は「世界に誇れるソーラー関連産業集積を形成しリーディング産業へ」および「太陽光発電普及率を日本一へ」を目標に次の3 つの柱に沿ってさまざまな取り組みを行っている。

熊本大学、産業界と連携

第1 に、産学官による次世代技術の開発を進めており、有機系太陽電池や有機EL 照明に共通して必要となる有機薄膜技術の研究開発の推進・人材育成に取り組んでいる。これは、本県が主体となり、熊本大学、産業界等との広域的な連携のもと展開を図るもので、昨年12 月に科学技術振興機構の「地域産学官共同研究拠点整備事業」の採択を受け、熊本県産業技術センター内に有機薄膜技術高度化のための設備・機器の整備に着手した。

特に、半導体製造・評価装置における本県産業界の強みを生かして、有機薄膜デバイス関連の材料、製造・評価装置産業の振興と集積を目指し、全国における有機薄膜技術の拠点化を図っていく。さらに、人材育成では、経済産業省の補助事業の採択を受け、熊本県産業技術センターにポスドク等の若手研究人材を雇用し、将来の有機薄膜分野の担い手となる研究人材を育成している(図1)。

図1 熊本県の太陽光発電関連産業振興の取り組み

図1 熊本県の太陽光発電関連産業振興の取り組み

公共施設・遊休地などを活用
写真1 (上) 県庁サンクガーデン(株式会社ホンダソルテック製/40kW)  (下) 県庁駐輪場(富士電機システムズ株式会社製/10kW)

写真1 (上) 県庁サンクガーデン(株式会社ホン
     ダソルテック製/40kW)
     (下) 県庁駐輪場(富士電機システムズ株式会社
     製/10kW)

第2 に、公共施設、ビル、遊休地などを太陽光発電の導入スペースとして有効に活用することを推進している(写真1)。フィルム型太陽電池の軽量性を生かした垂直取付式、簡易追尾式等の新しい設置方式で熊本大学、熊本県立技術短期大学校等に取り付け、その活用実証を実施している。耐久性・安全性・コスト等の実証の成果を今後展開させることで、地域における新エネルギー導入を加速し、低炭素社会実現を図る。

また、今後は、太陽光発電利用も含めた電気エネルギーがキーワードと考えており、電気自動車・電動バイクの普及が進むことが考えられる。

本県に進出している本田技研工業株式会社では電動バイクを開発中であり、県内でも既に電動バイクを開発・販売している企業がある。県内企業にとって、電気自動車や電動バイクの生産に伴う直接的な取引拡大が期待できるだけでなく、それらの普及に欠かせない充電インフラの整備においても太陽光発電と絡めて、新たなビジネスチャンス創出の可能性がある。そこで、学識経験者や関連企業の方にも参加いただきながら、電気エネルギーを活用した次世代交通システムについての検討会を昨年10 月に設置。本県での導入可能性等の調査を進めているところである。

第3 に、太陽光発電システムの普及拡大に向けた取り組みを進めている。今年度は国の経済危機対策を活用し、住宅・事業所用太陽光発電システム導入の補助や県庁舎等への設置等に取り組んでいる。特に、住宅・事業所用太陽光発電システムについては、全国の設置件数の伸びを大きく上回っており、ソーラーの普及が一段と拡大する見込みである。

そのほか、民間活力によるソーラー導入促進につながるアイデア募集等の取り組みも進めている。先駆的な取り組みをさらに進め、全国のモデルとなる太陽光発電の先進県を目指している。