2010年3月特別号
巻頭言
顔写真

佐々木 元 Profile
(ささき・はじめ)

九州半導体イノベーション協議会 会長
日本電気株式会社 特別顧問



技術力と産業集積力を基盤としたシリコン・クラスターの挑戦

九州半導体イノベーション協議会(SIIQ)は、経済産業省が進める産業クラスター計画の推進組織として、九州地域における半導体・FPD関連産業の振興を目的に、2002年5 月に設立されました。設立以来、半導体関連企業が集積する九州の強みを活かして産学官の濃密なネットワークを形成し、イノベーション創出の環境整備を図ってまいりました。特に2007 年度からは会費制度を導入して自立化を図り、新たなビジネスの創出とそれを支える技術の創造、人材育成とアライアンス形成に注力して、産学のシーズ、ニーズに即したビジネスに直結する事業を展開することによって、九州を中心とした産学官関係者の皆さまから高い評価を頂き成果を挙げていると自負しております。大手ユーザー企業の工場内等で地場企業の製品、技術をPR するチャレンジ・マーケット企業内覧会は、2007 年からの8 回の開催により、出展社数延べ266社、来場者数2,005名、商談の成約件数は実に351 件に上ります。また、次世代半導体製造人材の発掘と確保を目的に、学部・修士課程の学生が半導体製造プロセスの現場を体験する企業連携型人材育成事業「IKKAN」は、昨年11 月に日刊工業新聞社主催の第4 回ものづくり連携大賞特別賞を受賞いたしました。

現在、わが国の半導体産業は、応用分野である電子機器のライフサイクルの短寿命化とLSI の低価格化の要請に加えて、メモリーを中心とする規模のビジネスでは価格競争などの激しい国際競争に直面している状況であると認識をしております。

今後、SIIQ におきましては、参画メンバーが厳しい状況を乗り越えさらなる飛躍を成し遂げるため、九州における半導体産業の発展戦略となる新たな成長ビジョンを策定し、次のステップへかじを切ることが重要であると考えております。具体的には、アジア市場への地理的優位性を背景に、設計から製造、部品、材料などすそ野の広い関連産業の集積を強みとして、アジア市場へのアクセス機能を向上させることができると思います。さらに、産学官の強固なネットワークを活かした新たなビジネスモデルの構築を目指すとともに、これからの成長産業である環境、医療、福祉などの分野において社会的課題を解決する技術の創造を半導体技術の活用を通じてチャレンジし、新たな市場の創出と企業の競争力強化へとつなげていきます。そのためには、国や研究支援機関との連携をこれまで以上に強めながら、同時に技術革新のための未来への投資を的確かつ積極的に図っていくことが必要であると考えます。SIIQ としては、輝かしい九州、そして日本の将来のために技術と市場の両面から貢献していく所存であります。