2010年3月特別号
特集  - 産学連携に関する平成22年度予算
科学技術振興機構
さまざまなフェーズの産学連携支援を目指し新規事業と新設支援2タイプが始動

独立行政法人
科学技術振興機構
イノベーション推進本部
産学連携展開部 事業調整担当


独立行政法人科学技術振興機構(JST)では、大学等の研究成果の実用化に向けた、総合的な支援を実施している。今回は、企業との実用化に向けた本格的な共同研究開発を長期にわたりシームレスに実施できる公募事業について解説する。

平成22年度は、平成21年度に既存事業を再編、公募窓口を一本化し新制度として始動した「研究成果最適展開支援事業(A-STEP)」の「フィージビリティスタディ(FS)」ステージに「探索タイプ(仮称)」を新設するほか、「本格研究開発」ステージにも新たに「若手起業家タイプ」を設置する。また、同じく平成21年度に立ち上げられた「戦略的イノベーション創出推進事業(S-イノベ)」は、「産学共創基礎基盤研究」などを加え「産学イノベーション加速事業」として再編される。

研究成果最適展開支援事業<A-STEP>

A-STEP*1は「フィージビリティスタディ(FS)」と「本格研究開発」の2つのステージから構成される。FSステージには、大学等における研究成果の中に潜在しているシーズ候補を企業の視点から掘り起こし企業ニーズにつながるシーズとしての可能性を検証する「シーズ顕在化タイプ」と、シーズを基とした起業の可能性を検証する「起業検証タイプ」がある。

図1

図1 平成22年度研究成果最適展開支援事業
     (A-STEP)

平成22年度は大学等の研究成果を技術移転へ方向付けるとともに、そのすそ野を広げるため、FSステージに企業との共同研究につながる可能性があるシーズ候補を探索する「探索タイプ(仮称)」を新たに設置し、フィージビリティスタディの支援を充実させる(図1)。また、FSステージ等で顕在化されたシーズをもって産と学との実用化に向けた本格的な研究開発を支援する本格研究開発ステージに、起業意欲のある若手研究者がベンチャー企業の創出に資する研究開発を実施するとともに、起業家へのキャリアパス形成を促進することを目的とした「若手起業家タイプ(研究開発費最大4,500万円、期間最長3年)」が組み込まれる。

産学イノベーション加速事業

平成21 年度までの「戦略的イノベーション創出推進事業(S-イノベ)」と「先端計測分析技術・機器開発事業」、そして平成22 年度の新規施策「産学共創基礎基盤研究」を統合し「産学イノベーション加速事業」として再編し、新産業の創出を図る(図2)。

「戦略的イノベーション創出推進(S-イノベ)*2 」では、JSTの戦略的創造研究推進事業等から生み出された優れた研究成果を基に、技術の重要性やイノベーション創出の可能性等の視点から重点的に推進すべきテーマを設定し、テーマに沿った研究課題を公募する。そして、産学の研究者から構成されるチームが応募し、テーマごとに複数の研究チームを採択することでコンソーシアムが形成され、研究成果の共有等を図りながら実用化を目指した大規模(1テーマ年間5億円程度)で長期的(最長10年)な研究開発を推進し、新産業を生み出す核となる技術を開発しイノベーションの創出を図る。平成21年度は、以下4つのテーマで公募・採択が行われ研究開発が開始された。

1. iPSを核とする細胞を用いた医療産業の構築

2. 有機材料を基礎とした新規エレクトロニクス技術の開発

3. フォトニクスポリマーによる先進情報通信技術の創出

4. 超伝導システムによる先進エネルギー・エレクトロニクス産業の創出

また、「先端計測分析技術・機器開発*3」は、わが国の将来の創造的・独創的な研究開発を支える基盤の強化を図るため、産学連携による開発チームを編成し、先端計測分析技術・機器およびその周辺システムの開発を推進する。さらに、平成22年度は、産学の対話のもと産業界の技術課題の解決に資する基礎研究を大学等が行い解決を加速するとともに、産業界の視点や知見を大学等における基礎研究での取り組みにフィードバックし基礎研究の活性化を目指す「産学共創基礎基盤研究*4」を新たに設置する。

図2

図2 産学イノベーション加速事業

*1:所掌部
イノベーション推進本部 産学連携展開部
A-STEPについて:http://www.jst.go.jp/a-step/

*2:所掌部
イノベーション推進本部 産学基礎基盤推進部(予定)
S-イノベについて:http://www.jst.go.jp/s-innova/

*3:所掌部
イノベーション推進本部 産学基礎基盤推進部(予定)
先端計測分析技術・機器開発について:http://www.jst.go.jp/sentan/

*4:所掌部
イノベーション推進本部 産学基礎基盤推進部(予定)