2010年4月号
巻頭言
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川口 文夫 Profile
(かわぐち・ふみお)

(社)中部経済連合会 会長



「持続発展する豊かな中部」の実現を目指した産学官連携について

昨年のわが国の経済は、前年秋以降の世界的な金融危機の影響を受け、急速な後退を余儀なくされた1年でありました。ここにきて、わが国経済においては、景気の持ち直しの動きが見えてまいりましたが、自立性が乏しく、失業率が高水準にあるなど、依然として厳しい状況が続いております。一方、中部地域におきましても、生産や輸出などに下げ止まりから反転に向かう動きが見られ、全国同様に景気は持ち直しの動きが見えてまいりましたが、個人消費の低迷や厳しい雇用・公共投資環境に加えて、円高やデフレの影響などの不安材料もあり、回復のテンポはまだまだ鈍いものとなっております。

私ども中部経済連合会(以下、中経連)では、このような厳しい経済情勢から、いち早く抜け出し、景気回復への足取りを確実なものとするためには、将来をしっかりと見据えた基本設計図を描き、それを着実に実行していくことが重要であると考えております。

そのための大きな柱は、この地域の特徴であり同時に強みでもある「ものづくり」を中心とした産業の振興であります。この「ものづくり」はこれまでも時代の変化に対応しながら、その中身を高めてまいりました。現在の難局を乗り越え、これからも中部地域が発展していくためには、さらに「ものづくり」技術のイノベーションを創出し、さらに既存産業の高度化・複合化、時代を担う新産業の創出・育成等を適切に図る必要があります。そのためには産学官連携による取り組みを今まで以上に強化しながら、先端産業分野の振興をはじめ、先端研究機関・企業の誘致や次代を担う人材の育成について、積極的に推進していくことが必要であります。

これまで中経連では、中部5県(愛知、岐阜、三重、静岡、長野)と名古屋市の首長、主な大学の学長、主な国の機関の方々と「中部産業振興協議会」を開催しておりますが、今後はさらに産学官連携を図り、諸課題に対して取り組んでまいりたいと考えております。

具体的には、今後も昨年3月に本格稼働いたしましたナノ構造研究所(名古屋市) の研究活動を支援し、ナノテクノロジーを基軸とした産業の振興をはじめ、航空宇 宙産業、ロボット関連産業、バイオ・医療・健康長寿関連産業などの振興・誘致や 育成を積極的に推進してまいります。さらに、本年10月には名古屋市で生物多様性 条約第10回締約国会議(COP10)が開催されます。私ども中経連では支援実行委員 会の一員として、積極的に事業に携わるとともに、この地域の持つ「ものづくり」の 技術によって培われてきた環境技術などを世界に発信する好機として、地域と連携 しながら、中経連独自の事業を展開する予定であります。一方、「ものづくり」をしっ かりと支え、この地域の国際競争力を維持させていくためには、中部国際空港の2 本目の滑走路をはじめとする「社会資本整備」が必要不可欠なものであります。今後 はさらに実現に向けた地域一丸となった取り組みを推進してまいります。このほか にも、わが国と地域の競争力と生産性を向上させる「地方分権改革・道州制への移 行」なども中経連の重要な課題の1つであります。

私ども中経連では、「世界的な産業・科学・技術の中枢拠点」として「持続発展する 豊かな中部」の実現を目指し、今後さらに広域的な地域の経済団体として、諸課題へ の取り組みを加速してまいります。