2010年4月号
編集後記

大学の知財本部整備、国際連携、地域連携などの進展は評価できるが、国の補助金が無くなったら、推進組織無用論や大幅縮小論が出る大学もあるようだ。産学官連携を「外部資金獲得」の手段と位置付けている大学が多い。大切なのは個別テーマ設定の際、「産学連携によって何を実現するのか」を関係者間でもっと議論すべきである。個別の問題解決のみに走らずに、達成すべき課題の設定とその共有化がイノベーションにつながる。同床異夢のもとで部分最適に重心を置くのではなく、同床同夢のもとでの全体最適を追求するシステムと意識改革が望まれる。How to doでキャッチアップ時代を過ごした日本の産学官関係者は、フロントランナーになった今日、What to do を視野に入れて議論すべきである。

(編集委員長・高橋 富男)

昨年暮れに閣議決定された「新成長戦略」は、新味に欠ける、具体性が無いなど一般に評価はそれほど高くない。しかし、基本方針において「システム輸出」によるアジア需要の創造、「幸福度や満足度」に関する指標づくり、「日本の自然や文化遺産あるいは多様な地域性」を資源としてとらえ生かそうとしている点などいくつか注目すべき内容が含まれている。しかも「実行」することが強調されている。 これらの基本方針が宣言のみに終わらず、今後、具体的な形で実行され実現されることを強く望むものであり、置かれた立場でできることはやりたいと考えている。

(編集委員・藤川 昇)

東芝が電機大手では初めて一般白熱電球の製造を中止した。同社発祥事業の1つだった。電球型蛍光ランプに加え2007年に実用的な明るさのLED電球を商品化。置き換えを進めていく。後押ししたのはCO2排出量削減という時代の要請だ。消費電力が8分の1のLED照明など代替品の開発競争はメーカー間で加速するだろう。よくある世代交代の形だが、磁気記録方法が水平から垂直に移ったハードディスクはどうなのだろうか。特集で岩崎俊一先生を知る3氏が読み解いている。実用化への30年は長かったのか。水平が限界を迎えるはるか30年も前に次代を担うコンセプトを提示されたとみるべきなのか。その先見のゆえに理解されない時期もあった。時代がようやく追いついた。よかった。

(編集長・登坂 和洋)