2010年5月号
巻頭言
顔写真

湯崎 英彦 Profile
(ゆざき・ひでひこ)

広島県知事




地域の力を結集して新たな経済成長へ

広島県には、競争力ある産業と大小さまざまな企業の集積、蓄積された技術、優れた人材、世界的にも恵まれた自然環境、世界遺産など、先人たちが挑戦し築き上げてきた、世界に誇れる「力」や「宝」がたくさんあります。

こうした広島県の持つ底力を最大限に引き出し、あらゆる分野で新たな活力を生み出していくため、私は、昨年11 月の就任以来、「人づくり」「新たな経済成長」「安心な暮らしづくり」「豊かな地域づくりと真の地域主権の確立」「行政運営刷新」という5 つの挑戦を行っているところです。その1 つである「新たな経済成長」を果たすためには、地域の産学官連携体制が重要と考えております。

本県の基幹産業である自動車産業界においては、環境、安全、情報化などの分野で、構成部品のエレクトロニクス化が急速に進んでおり、これまで金属加工や樹脂成形等が中心であった本県の部品サプライヤーにとって、カーエレクトロニクス化への対応が喫緊の課題となっていることから、平成20 年7月、財団法人ひろしま産業振興機構に「カーエレクトロニクス推進センター」を設置し、産学官連携による研究開発支援と人材育成に取り組んでおります。

本年度は、これまでの研究開発の成果を組み込みながら、県内外の電気・電子機器メーカーや大学の協力を得て、プラグインハイブリッド自動車の試作車の開発と検証にも取り組むこととしております。また、シミュレーション技術を活用したソフトウエア開発手法であるモデルベース開発の人材養成研修を実施し、各企業の現場で製品開発を担当する中核技術者の養成を行っているところです。

また、自動車関連産業を含む6分野(ロボットテクノロジー関連産業、航空機関連産業、機能性食品産業、LED 関連産業、医療・福祉機器関連産業)において、中国地域の各県が連携して取り組む人材育成に関するプロジェクトを開始し、これら産業のさらなる集積促進と活性化を目指すこととしております。

さらに、10 年先を見据えた本県産業が今後進むべき方向性などをまとめた新たな産業振興ビジョンを策定するほか、新産業の創設や企業の事業転換などを、資金、技術・人材、あるいはマーケティング等、さまざまな面から支援する「広島版産業革新機構」の早期設立に向けて準備作業に着手しております。

不透明な時代にあって、今後とも地域が発展していくためには、地域の力を結集していくことが不可欠であることから、今後とも、世界に通用するものづくり産業拠点の形成を目指して、産学官連携の深化を図ってまいりたいと考えております。