2010年5月号
特集  - 高専 新時代
企業の技術ニーズに応えるKNTnet
全国から51高専、長岡・豊橋技科大を結ぶ
顔写真

近藤 孝 Profile
(こんどう・たかし)

独立行政法人 国立高等専門学校機構
高専−技科大連合・スーパー地域産学官連携本部
産学官連携コーディネーター

全国の企業ニーズ・課題と技術シーズを結び付ける新しい全国ネットのシステムができた。その使い方は?

地域の企業が求めている技術ニーズと、全国51の国立高等専門学校(高専)と長岡技術科学大学・豊橋技術科学大学(技科大)などの研究者情報をマッチングさせるシステムをつくったそうですね

狙いは幅広くマッチングを行うことです

全国的な地域イノベーションを起こそうと、北海道から沖縄まで全国に存在する高専と技科大とが手を結び、全国の企業ニーズ・課題を教員約4,500 名の技術シーズで解決しようとするシステムです。名称は「KNTnet(ケーエヌティーネット)」*1 で、K は高専、Nは長岡技科大、T は豊橋技科大に由来し、その目的は大きく3 つあります。第1に、これまで個別に対応してきた各校の技術力、人材育成力、ネットワークを融合させ産学連携の広域化を図ることです。第2 に、高専と技科大とが協力して知財活動やその管理体制を強化し、強い特許の創出や運営を効果・効率的に実施することです。第3 に、高専同士あるいは高専と技科大の教員間で学学連携を図り、共通の研究課題やシーズを持つ教員同士のクラスター化を可能とし、研究開発力の強化とその相乗効果を得ようとすることです。試行期間を経て、2010 年4 月から本格稼働させました。

システムの特徴は何でしょうか

使いやすく機能面、運用面の工夫をしています



図1 KNTnetの鳥瞰(ちょうかん)図

KNTnet の機能上の特徴は大きく分けて3つあります。第1 に全国51 高専と2 技科大の約4,500 名の全教員の研究シーズ情報を検索できることです。これら教員シーズ情報は、科学技術振興機構のReaD(研究開発支援総合ディレクトリ)と連携するだけでなく、教員の写真やシーズ集等を追加できるため、より詳しい情報が入手できます。第2 に、KNTnet では、キーワード検索を行うとき関連する全国すべての特許情報が閲覧できます。特許情報は特許庁のIPDL(特許電子図書館)とリンクし、特許の概要を一覧にして見やすくする等の利便性を向上させています。第3 に、事前登録した閲覧者や企業が興味のある教員に技術相談をしたいときにシステム上で依頼ができます(図1)。

KNTnet の運用面での大きな特徴は、教員の技術シーズと企業のニーズとのマッチングを効果的に行うために、システムを通じて技術相談ができ、全国8 地区のコーディネータが地区内で積極的にサポートする体制としていることです。また、本部コーディネータが全国のマッチング状況やコーディネート状況を把握して、各地区のコーディネータをサポートしている点にあります。

個々の企業が抱える技術的な課題について、個別に相談できるのですか

システムから技術相談が可能です



図2 KNTnetのログイン画面

KNTnet に登録いただいた企業等は個別の技術課題や悩みを相談することが可能です。先ほど述べましたとおり、まず相談者はシステム上で相談依頼もしくは相談概要の記入を行います。この内容がコーディネータへと連絡され、コーディネータが仲介してお返事し、相談希望の教員や適切と思われる教員への面談日時、場所等を設定します。技術相談は無料ですので、遠慮無くKNTnet を使ってください。ただし、KNTnet に登録いただくのが前提ですので、まずは登録をお願いします(図2)。

全国にくまなく存在するのが高専の強みですね


図3 連携機関の役割分担

高専は北海道から沖縄まで全国にあり、地域との強い絆(きずな)があります。中小企業との連携が強く、気軽に相談できる(敷居が低い)のも大きな特徴です。地方ニーズを確実に(深く)把握して問題解決を図り、地域貢献を目指すことがわれわれの使命です。全国規模の地域イノベーションを創出する、そのためのツールとしてKNTnet を活用したいと考えております(図3)。

KNTnetの活用事例を紹介願います。将来どのように発展させるお考えですか

首都圏の企業ニーズを地方の高専、技科大に展開するツール

企業のニーズは首都圏に多くあり、各大学が新技術説明会を首都圏で行うのはそのためです。高専は首都圏や大都市圏に少ないのが実情で、首都圏や大都市圏の企業ニーズを知りたいという要望があります。

私たちは、企業ニーズを把握する場に大小の区別無く参加しておりますが、その1 つに科学技術振興機構主催の「産から学へのプレゼンテーション」(年に10 回程度開催)があります。その場で提示された技術課題を私たちのコーディネータが企業に代わってブレークダウンし、KNTnet を使い教員に技術相談をかけた結果、企業と教員とのマッチングが可能となり課題解決となった事例があります。私どもは、このように首都圏のニーズを地方の高専、技科大に展開するツールとして活用していくつもりです。

また、継続性が要求される技術課題を解決するために、KNTnet を使うことで、教員同士の連携、教員と企業との有意な連携といった研究開発クラスターを組織できるように発展させていきたいと考えています。

さらに副次的な活用方法として、高専卒業生が進学する際に技科大の希望する研究室を探すためのツールにするとか、企業が学生の採用情報を得るために活用いただくことも可能だと考えております。

*1 :高専−技科大連合・スーパー地域産学官連携本部
「KNTnet」https://kosen-nut.net/

お問い合わせ先
高専−技科大連合KNTnet担当 E-mail:system-knt(at)kosen-k.go.jp