2010年7月号
巻頭言
顔写真

新井 純 Profile
(あらい・じゅん)

昭和シェル石油株式会社 代表取締役社長




次世代型の太陽電池の積極展開

近年、国際社会の気候変動に対する問題意識は高まりを見せており、わが国の 低炭素社会に向けた取り組みも加速しています。その中にあって、エネルギー 企業に求められるのは、社会に対して持続的なエネルギーソリューションを提 供することであると考えています。当社は2009 年に中期経営ビジョン「EPOCH 2010」を策定し、当社がエネルギーチャレンジと位置付けている、「エネルギー の安定供給」「環境負荷の低減」「新エネルギーと環境配慮型製品の開発」を進める こととしました。これらのチャレンジに立ち向かうことなくしては、企業として 持続的な成長を遂げることは出来ないと考えています。

当社は、1993 年に独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) から研究開発を受託した環境配慮型製品である次世代型CIS薄膜太陽電池の普及、 品質向上への研究開発に努めています。地球環境の保全に向けて、企業はよりグ ローバルにスピード感を持って、さまざまな世の中のニーズに応えられる諸施策 に取り組むことが求められております。迅速な多様化への対応においては、一企 業単独の活動にはおのずと限界があり、産学官の連携の必要性がさらに高まって います。

産学官連携の取り組みの一環として、当社は2007 年2 月から東京大学を中心 とするネットワーク型国際研究拠点である東京大学サステイナビリティ学連携 研究機構(IR3S)に研究者を派遣し、同機構とともに「エネルギー持続性フォーラ ム」を立ち上げ、持続可能な社会のための長期的なエネルギービジョンや戦略の 策定を目指しています。当社のエネルギー戦略に寄与することのみを目的とせ ず、同フォーラムから社会全体に向けた提言を行っています。

太陽電池事業においては、宮崎県内に3つ目の太陽電池工場を建設中です。宮 崎県と大規模太陽光発電事業に関するパートナーシップ協定を締結し、太陽光発 電施設の建設にサポートを頂きながら、ともに低炭素社会の実現に向けた取り組 みを推進しております。また、新潟県においても大規模太陽光発電所建設を新潟 県の補助事業ならびに一般社団法人新エネルギー導入促進協議会の「地域新エネ ルギー等導入促進事業」として、同県と共同で取り組んでおり、雪国型メガソー ラー事業の事業モデルの検証を行う予定です。

エネルギーソリューションは重要な社会インフラの1つです。このような事業 を展開する上では、地域社会との協働が重要であり、まさに産学官の連携の1つ の典型であると理解しています。また太陽光エネルギーを含む再生可能エネル ギーは、普及促進の観点から、政策的な支援が必要な段階にあります。民間企業 が企業努力を重ねることは申すまでもありませんが、官がどのような方向性を示 すのかといった点も、この産業の成長に重要な役割を果たすものと考えています。

今後も産学官連携を促進しながら、低炭素社会の実現に向け、スピード感を 持って取り組みたいと考えています。