2010年12月号
巻頭言
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石井 隆一 Profile
(いしい・たかかず)

富山県知事




ものづくり産業振興、新産業育成に挑戦

富山県は、勤勉で粘り強く、積極進取の気性に富む県民性や、豊富で良質な水、水力発電による廉価で安定した電力供給に支えられ、一般・電気機械をはじめ、アルミ等の金属製品、医薬品等の化学など多様な業種によって、日本海側屈指の工業集積を形成してきました。

しかしながら、国内外の企業間競争の激化に加え、世界的な不況や急激な円高など、企業を取り巻く環境は大きく変化しており、本県産業が活力を維持し、発展するためには、今日まで培ってきた高いものづくり技術や地域の特色を活かして、より付加価値の高い製品づくりに力を入れる必要があると考えています。

このため、産学官連携による共同研究開発を推進し、新技術や新製品の開発を促進しています。今年度は新たに、本県の産業支援機関である財団法人富山県新世紀産業機構に産学官連携プロデューサーを配置し、コーディネート機能を強化するとともに、高度な技術の実用化を目指す大規模な研究を2年間継続して支援する制度を創設したところです。

また、来春には、高岡市で「富山県ものづくり研究開発センター(仮称)」を立ち上げることとしています。これは、産学官連携による技術開発に加え、試作品をつくり、製品化して販売するまでのバトン・ゾーンの役割を果たすものであり、ものづくり技術を支える人材の育成にもつながり、本県のものづくり産業の発展に大きく寄与するものと考えています。

さらに、10年後、20年後を見据え、医薬・バイオ、ロボット、環境・エネルギー、航空機など、今後の成長が見込まれる新たな産業分野への挑戦や参入を積極的に支援していくことも重要と考えています。

特に、医薬・バイオについては、三百有余年の「くすりの富山」の伝統を活かして、ライフサイエンス分野の国際的な研究開発拠点づくりを推進しています。現在、石川県と共同で「ほくりく健康創造クラスター」を進めており、医薬基盤技術を活かしたバイオ機器等の開発や、天然薬物の国際標準化に取り組んでいます。また、大学との連携による和漢薬の研究開発を進めているほか、昨年締結した、世界の薬都スイス・バーゼル地域の州政府との医薬品分野を中心とした交流協定を踏まえ、今年10月にバーゼルの大学や企業の研究者を招いたシンポジウムを本県で開催したところであり、今後、共同研究や生産面での連携協力につなげていきたいと考えています。

依然として厳しい経済状況にありますが、これからも「元気とやまの創造」に向け、産学官連携の推進による、将来を見据えたものづくり産業の振興や新産業の育成に果敢にチャレンジしていきたいと考えています。