2010年12月号
編集後記

最近、私が6月号に書いた記事を見て「相談してみようと思った」と、私の所属機関KASTにお見えになった方がいた。ありがたい新規の“お客さま”である。産学連携のプレーヤーをお客さまといっては語弊があるかもしれないが、連携事例を見ると、研究成果の事業化に理解のある先生と、大学の知の活用について成功体験のある企業との間で、相手を取り換えながら進められることが多いように感じる。プレーヤーが限られているのだ。それ以外の方々にも、協働して新しいことにチャレンジするメリットを肌身で感じてもらい、リピーターになっていただくため、ジャーナル等を活用して情報発信を怠りなく続けていかねばと改めて思った。

(編集委員・雨森 千恵子)

産学官連携の分野においてコーディネータという言葉が用いられるようになってから15年が経つ。97年にJSTの前身となる新技術開発事業団が始めた地域研究開発促進拠点支援事業の新技術コーディネータがそれであるが、当初は「コーディネータ」といえば「インテリアコーディネータ」と間違えられるような存在であった。今回の特集を機にそのころを振り返ってみると、個性的な各人の顔が浮かび大変懐かしく思われる。現在では全国各地におり、この分野においてなくてはならない存在となっている一方で、国の施策においても「モノからヒトへ」という流れの中、ますます注目される存在である。しかし、これからは個から脱し、ネットワークによる連携が期待される。

(編集委員・遠藤 達弥)

エコノミストの浜矩子さんが、米メジャーリーグの日本人選手を [1]グローバル・スタンダード追随型 [2]ローカル・スタンダード引きずり型 [3]マイ・スタンダード堅持型――に大別している。[1]、[2]の典型はそれぞれ松井秀喜、松坂大輔。[3]は、人がつくった尺度に振り回されないタイプ。言わずと知れたイチローである。この分類でいくと、世界選手権で32年ぶりのメダル(銅)を獲得した女子バレーボール・日本チームはさしずめマイ・スタンダート型だ。平均身長の低い日本が世界とどう戦うか。眞鍋監督が採ったのがデータ重視のIDバレーであり、それを機能させる全員参加。名セッター竹下の活躍や手堅い守備力もあったが、女子バレーの新しいスタイルを印象づけた。本誌の領域でも、黎明(れいめい)期を過ぎ、マイ・スタンダード型が台頭する気配だ。

(編集長・登坂 和洋)