2013年12月号
特集1 - 女性の参画 次の100年へ
女性が活躍するリサーチ・アドミニストレーター推進組織
顔写真

倉田 奈津子 Profile
(くらた・なつこ)

九州工業大学 イノベーション推進機構
リサーチ・アドミニストレーション・センター 副センター長 シニアURA

全国の多くの大学で導入が進められているリサーチ・アドミニストレーター(URA)。学部学生の男女比率が7:1という九州工業大学におけるリサーチ・アドミニストレーション・センターはメンバー9人のうち女性は6人。女性URAは教職員に覚えてもらいやすいメリットもあるようだ。

はじめに

リサーチ・アドミニストレーター(以下「URA」)とは大学等において、研究者とともに研究活動の企画・マネジメント、研究成果の活用促進を行うことによって、研究活動の活性化や研究開発マネジメントの強化等を支える業務に従事する専門職人材のことである。九州工業大学においては、平成24年度文部科学省事業「リサーチ・アドミニストレーターを育成・確保するシステムの整備」の「地域貢献・産学官連携強化」事業タイプに採択されたのを機に、同年9月1日にリサーチ・アドミニストレーション・センター(以下「URAセンター」)が設置された。現在、2年目を迎え、既に活発に活動している産学官連携に関わる学内外の関連部署との連携により、有望な研究者のシーズを地域経済の発展につなげるため、競争的資金等の獲得増や受託研究・共同研究の増加を目標に本格的な活動を開始したところである。九州工業大学のURAセンターは女性の人数が男性より多く、対等に仕事をしている。ここでは女性URAに焦点を当て、その活動状況を紹介する。

URA推進体制

現在、センター長の下、シニアURA(女性1名)とURA4名(うち2名は女性)、および3名の支援スタッフ(全員女性)のメンバーからなる総勢9名(女性6名、男性3名)の体制で業務を行っている。前歴も経験もそれぞれ異なるメンバーが集まった職場ではあるが、情報の共有とチームワークを重要視しながら、それぞれの個性・能力を発揮して、仕事に取り組んでいる。中でも女性URAは、心優しい男性URAと気配りに優れた有能な3名の女性支援スタッフに囲まれて、元気に仕事ができるという恵まれた環境にあり、それぞれのテーマ(科学研究費補助金〔以下「科研費」〕支援、医工連携)を持って主体的に精力的に動き、周囲から頼りにされる人材に育ってきている。また、九州工業大学は学生の男女比率が、学部生7:1、院生6:1であり、教職員も男性が多く、女性URAは関係者に覚えてもらいやすいというメリットも持っているようだ。

具体的な仕事内容

URAの仕事は、外部からの研究資金獲得の支援(プレアワード)、資金獲得後の支援(ポストアワード)、活動の普及(アウトリーチ)と大きく3つに分けられるが、現在はプレアワードを第一に業務を行っている。これまで、科学技術振興機構の研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)事業、科研費等への応募申請における申請書の作成支援や若手研究者の掘り起こし、有望なシーズを核とする研究開発プロジェクトの企画・提案支援、さらに地域と連携した大型プロジェクト事業の提案における関係部署と連絡調整等を行っている。特に、科研費については、学内の研究者に向けた科研費の意識付けのためのセミナーや申請書作成に関する説明会等を開催するとともに、今年度から新たに、URAによる申請書作成支援に取り組んだ。具体的には、申請書の形式的なチェックだけではなく、文章は分かりやすいか、審査のポイントをしっかり押さえてアピールできているか等の視点に立ち、できるだけ審査員に理解されやすい申請書になるよう、研究者とのやりとりを数回行っている。

また、専門分野を持つURAは、ヒアリング審査を伴う事業への応募に当たっては、単に申請書の作成支援だけでなく、ヒアリング練習や予想される質問への対応等、先端的な研究内容にまで深く入り込んだ密度の高い支援を行い、研究プロジェクトメンバーからの信頼を得ている。その他、URAセンターとしては、研究者情報についての整備に着手するとともに、研究者のシーズを大学のホームページ上で一般向けに分かりやすく紹介するための研究者情報の編集を行うなど、学内研究者の研究活動支援システムの整備を進めている。

今後の展望・期待

国内においては、まだ、「URA とは何か?」について固まっておらず、各大学においてそれぞれの大学に適したURA システム(研究支援体制)が検討されている状況にあるが、今後の大学の研究機能強化、マネジメント強化のためには、URA の役割は重要と考えられる。私たちは、今後、それぞれのURA のスキルアップ・ステップアップを図る一方、文部科学省事業期間終了までには学内においてURA の定着による新しい研究支援連携体制の基盤づくりができるよう、学内・学外の関係部署とさらに密接な連携を図りながら次への展開につなげていきたい。