2014年11月号
特集 - 医療機器開発 医工連携の課題
東九州メディカルバレー構想特区
アジアを見据えた産業集積、産学官で加速
顔写真

冨山 幸子 Profile
(とみやま・さちこ)

宮崎県 商工観光労働部 産業振興課
産業集積推進室長


宮崎、大分両県の産学官が推進している「東九州メディカルバレー構想」。医療機器産業振興に加え、医療でのアジア貢献を目指している。

宮崎・大分両県の産学官が、医療機器産業の一層の集積や、医療分野でのアジアへの貢献を掲げて策定した「東九州地域医療産業拠点構想(東九州メディカルバレー構想)」。2011年末には地域活性化総合特区に指定され、両県の強固な連携の下、取り組みが加速している*1。その一端を紹介したい。

アジアに展開

産業集積の基盤として産学官で立ち上げた「医療機器産業研究会」では、医療現場見学会、アドバイザー派遣、研究開発支援、展示会出展等、企業の新規参入から販路開拓までの支援に取り組み、大きな役割を果たしている。

また、研究開発の拠点として、宮崎、大分両大学にそれぞれ医療機器の研究開発に関わる寄附講座を設置し、医療機器メーカーや地場企業との共同研究を進めている。宮崎大学では、産業動物教育研究センターの活用、宮崎県立延岡病院に設置した寄附講座県北拠点と連動した企業支援が推進中。大分大学では西日本で唯一の治験中核病院や研修施設スキルスラボセンターを活用した取り組みが加速している。

さらに、特区調整費活用の大型研究開発をはじめ、産学官での医療機器等の開発、ロボットへの取り組みも活発化しており、本特区の発展に大きな期待を抱かせている。

これらの結果、特区指定後約2年で、医療機器製造業許可の新規取得が10事業所と目標を大きく上回った他、企業立地も5件に達した。

タイの医療技術者を対象とした医療機器研修
(九州保健福祉大学)

一方、血液透析に関係する医療機器・医療技術の海外展開を目指して、JICA(独立行政法人国際協力機構)、CLAIR(一般財団法人自治体国際化協会)等の協力の下、アジアの医療関係者を招へいした研修事業や現地調査等が進められている。医療機器メーカー、宮崎・大分両大学をはじめ、日本トップクラスの医療機器トレーニング施設を有する九州保健福祉大学、行政が連携し、まさに産学官のメリットを発揮した特徴ある取り組みが展開中である**1。近い将来、現地に日本製医療機器のトレーニングセンターを構築し医療の向上に貢献するとともに、日本製医療機器のアジアへの普及につなげたいと考えている。

●参考文献

**1
城風淳一.東九州とタイとの交流―透析医療―産学官連携による透析トレーニングセンターの構築とさらなる交流をめざす.医機連ニュース.2013年,第83号,p43-59.