2014年11月号
特集 - 医療機器開発 医工連携の課題
滋賀健康創生特区
地域の“ものづくり力”を活かす
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小川 栄司 Profile
(おがわ・えいじ)

滋賀県 商工観光労働部 モノづくり振興課



滋賀県は2004年度以降、幾つかの産学官連携支援事業を活用して医療機器産業の創出に継続して取り組んできた。「地域の“ものづくり力”を活かした『滋賀健康創生』特区」に指定されている。

「びわこ南部地域」における医工連携の取り組み

滋賀県の人口の約半数が居住する「びわこ南部地域*1」は、滋賀医科大学、立命館大学、龍谷大学の三つの大学が隣接する「知」の集積地であり、大手製造業の研究所や拠点工場、これらを支える中小企業が多数立地する「ものづくり」の集積地でもある。

本県では、こうした地域のポテンシャルを活かし、2004年度から文部科学省の産学官共同研究事業*2の採択を受け、「いつでも・どこでも高度先端医療を実現する診断・治療技術*3の開発」に取り組むとともに、医工連携による新事業創出に意欲的な企業等により「しが医工連携ものづくりネットワーク*4」の形成を進め、医療機器産業の創出に向けた支援を展開してきた。2013年度には、後継プロジェクト「血液一滴で高度な診断を可能とするポイントオブケアシステムの開発」が、経済産業省「課題解決型医療機器等開発事業」に採択され、事業化に向けた取り組みを進めている。

“地域の力”を“健康づくり”に

びわこ南部地域は、京阪神のベッドタウンとして高度経済成長期に人口流入が進んだ。このため、今後の急速な高齢化が見込まれ、生活習慣病の増加や医療資源不足が懸念される中、全国的にも介護難民リスクの高い地域である。

そこで、これまでの医工連携の取り組みにより培われた地域の力を結集し、“治療から予防への転換”に寄与する新たな課題解決モデルの構築を図るべく、地域活性化総合特区に「地域の“ものづくり力”を活かした『滋賀健康創生』特区」の申請を行い、2013年9月に指定を受けた。

本特区では、生活習慣病をはじめとする疾病予防や健康づくりに寄与する「医療・健康機器の開発・事業化」と「健康支援サービスの提供」に取り組む計画であり、「課題解決型医療機器等開発事業(総合特区推進調整費)」を活用して進める新型補聴器の開発や、簡易血液測定サービスの提供など、新たな「健康創生」産業創出への取り組みを通して、“地域経済の持続的発展”と“県民がいきいきと健康に暮らす社会”の実現を目指していく。

「滋賀健康創生」特区の取り組み

*1
「びわこ南部地域(特区域)」は、大津市、草津市、守山市、栗東市、野洲市の5市

*2
「都市エリア産学官連携促進事業(一般型・発展型)」「地域イノベーション戦略支援プログラム(グローバル型)」

*3
「超微量生体標本分析装置」「内視鏡様手術ロボット」

*4
参加機関数:145機関
(2014年9月末現在)