2016年12月号
視点

国際会議における「日本の不在」

ことしは米国のAmerican Association for the Advancement of Science(AAAS)とAssociation of University - Technology Managers(AUTM)の年次大会、オランダのUniversity Industry Interaction Conference(UIIC)、ドイツのTriple Helix International Conference(THIC)に参加する機会に恵まれた。今回は特に欧州での印象を述べたい。

UIICは2013年から開催された新しい会議だが、今回は約400人の参加者でにぎわい盛況だった。欧州各国を中心に、新興国を含め多様な組織の取り組みが紹介されたが、域内経済規模が日本の都道府県と近く、大学組織も中小規模なので、問題意識を共有できる事例が多く非常に有意義だった。一方、ことし14回目となるTHICは、例年と開催時期がずれていたためか、参加者は200人弱と、国際会議としてはやや寂しいものだった。

欧州の産学連携実務者が集まる国際会議で感じたのは「日本の不在」である。扱われているテーマや発表内容は日本の産学連携従事者にも示唆に富み、裏を返せば、日本の事例に基づいた発表も十分に受け入れられる素地があるといえる。わが国の産学連携の取り組み事例や成果を発信し議論する場が欧州にもあることをお伝えしたい。

(前波 晴彦 鳥取大学 産学・地域連携推進機構 准教授)

地方企業の人材採用難

最近、地域の企業から人材の採用についての相談が増えている。大企業から中小企業まで製造業が集積する東信州地域では、技術系や情報系人材の採用状況が企業の業績に大きく影響する。「仕事の引き合いはあるが、対応できる人材がいない」といった状況は、単に新しい仕事を受注できないだけでなく、今受けている仕事ごと人材豊富な他社や他地域に移管されかねない。

信州大学の理工系の学部・大学院の卒業生は長野県外への就職が約8割で、長野県工科短期大学校、長野高専の卒業生も引く手あまただ。地域の企業は技術系や情報系人材の確保に必死だ。

一方、県外に目を移せば、東信州出身の首都圏在住者や学生で、Uターン就職・転職を希望する者や、東信州で働きたいと思うIターン、Jターン希望者は確実に増えているが、地域企業とうまく出会えていないことが残念だ。

就職や転職のマッチングは、自治体単独ではなく東信州の広域の自治体が連携して取り組むべき急務の課題だ。行政と地域の企業が一体となり、地道に努力し継続的に取り組み、情報発信を続けることで、東信州地域での就労に興味を持つ若者が増え、実際の採用につながっていくはずだ。

(岡田 基幸 一般財団法人浅間リサーチエクステンションセンター(AREC)
センター長・専務理事/信州大学 繊維学部 特任教授(工学博士))

編集後記

独立行政法人日本学生支援機構の2015年度外国人留学生在籍状況調査結果では、外国人留学生数が20万人を超え過去最高だった。中国の45.2%を筆頭に、92.7%はアジア諸国の学生で、次いで欧州3.5%、北米1.3%である。中でもネパール、ベトナム、ミャンマーが急激に増え、アジア新興国の学生が急増中だ。国内の地域別では、関東がおよそ50%、近畿が18%、九州、中部と続き、大都市に集中している。専攻分野では、社会・人文科学で61%と6割以上だった。わが国は2020年度までに外国人留学生を30万人に増やすという「留学生30万人計画」の実現を目指している。グローバル化に対応するため、こうした偏りも考慮しながら政策を考え、留学生をどれだけ増やせるか。「大学等」ではさまざまな取り組みを実施している。

(本誌編集長 山口 泰博)