巻頭言
2017年5月号
巻頭言
科学者を目指して
顔写真

日比谷 潤子 Profile
(ひびや・じゅんこ)

国際基督教大学 学長



沖縄科学技術大学院大学(OIST:Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University)では、3月の第2週の5日間にわたり、第3回「OIST Science Challenge 2017 博士課程体験キャンプ」が開催された。研究者志望で、同大学が提供する国際的な環境の中で多くを吸収したいと願う意欲的な学生を対象に、大学院生活の一端を体験できるワークショップ*1で、沖縄までの往復航空券、滞在費、食事など全ての経費が支給される。

応募者はまず、「What is your science dream?」をテーマとする最大6ページの発表スライド、および参加動機を記した文書(英文で200語以内)を提出する。①科学への情熱と好奇心、②創造性、③明晰(めいせき)性を基準とする選考を経て、ことしのワークショップに参加が決まった学生は、全体で26人、うち5人(1年生2人、2年生1人、4年生2人)が国際基督教大学教養学部に在籍する学生である。

OISTウェブサイト上に公開されているハンドブックによると、期間中の月曜日から木曜日までの午前9時から午後7時まで、講義、セミナー、小グループでの活動、研究室訪問、最終日に行われるプレゼンテーションの準備等々のスケジュールがびっしり。金曜日の午前中に実施された最終発表会では、上記3点に、④聴衆との関係、⑤持ち時間の厳守を加えた5点により審査が行われ、同日夕方の閉会式で最優秀賞が発表された。

本ワークショップの狙いは、これから本格的に科学の道に進むことを考えている学生に対し、第一級の研究者との出会いを通して、各分野における最先端の研究動向を知る機会を提供するところにある。23人のOIST博士課程在籍者がTA(ティーチング・アシスタント)として参加することもその特徴の一つであろう。最終日には、これらの大学院生によるポスターセッションも企画された。学生は、究極的な目標としての研究者、同じ志を持ち一歩あるいは数歩先を行く現役大学院生の双方に触れることにより、自らのキャリアを段階的に思い描くことができる。

参加者を募集するポスターには、「ノーベル賞受賞者も、世界の発明王も下積みの学生時代があったはず。研究者になるにはどのような大学院生活が待ち構えているのでしょうか?」と記されている。このワークショップから、ノーベル賞受賞者や世界の発明王が次々に生まれることを期待したい。