2018年4月号
巻頭言
人口減少時代を迎えた地方創生
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沖村 憲樹 Profile
(おきむら・かずき)

公益財団法人全日本地域研究交流協会(JAREC) 理事長


わが国は、少子高齢化、人口減少の時代を迎えているが、地方においてはこの影響はより厳しく社会経済の縮小・衰退・疲弊に直面しつつある。

政府も地方創生については高く位置付けている。総合科学技術・イノベーション会議による第5期科学技術基本計画においては、地域イノベーション創出を重要視し、①地域企業の活性化、②地域の特性を生かしたイノベーションシステムの駆動、③地域が主体となる施策の推進を挙げており、地域イノベーションの創出・推進が大きな柱となっている。

また、科学技術イノベーション戦略2017では、地方創生に資するために重きを置くべき取り組みとして、地域のコア技術を核に事業のプロデュースに向けた体制を地域の大学や公的試験研究機関等に構築することで、日本型イノベーション・エコシステムの形成を加速することを挙げている。

一方、内閣府のまち・ひと・しごと創生本部は、人口減少と地域経済縮小の克服、まち・ひと・しごとの創生と好循環の確立を掲げ、その総合戦略(2017改訂版)において基本目標として、①地方にしごとをつくり、安心して働けるようにする、②地方への新しいひとの流れをつくる、③若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる、④時代に合った地域をつくり、安心なくらしを守るとともに、地域と地域を連携する、を挙げている。この中で、①では、生産性の高い活力に溢れた地域経済実現に向けた総合的取組、観光業を強化する地域における連携体制の構築、農林水産業の成長産業化、地方への人材還流、地方での人材育成、地方の雇用対策などを挙げている。また、②においては、政府関係機関の地方移転、企業の地方拠点強化、地方における修学・就業の促進などを述べている。

人口減少や地方における衰退という大きなマイナス面を補い、地方の活性化や地方の持続的な成長を図るためにも、地域イノベーションを起こすことが求められるが、わが国が初めて経験する社会経済的難題について、短い期間で効果のある解答は極めて難しい。

抜本的解決のためには、わが国は、総合的国土開発計画のもと、地方重視型に国土開発の構造を変えていく必要がある。地方において、地方分散や新たな産業を創出するなどあらゆる手段を講じ、雇用を拡大し、人口減少を食い止めることが肝要である。

ヨーロッパ諸国は100年以上前から人口減少問題に苦しみ、一極集中を廃し、地方分散を国土開発の柱に据え、地方での産業育成、官業の増加を含め地方の雇用機会の増加を図り、ある程度の特殊出生率をキープしている。人口の減少を食い止め、地方の活性化を図るには、国が一丸となった抜本的な国土政策の転換を図っていくことこそ必須事項であると考える。

ともあれ、現段階で、科学技術の側面からあらゆる努力をすべきである。企業自身による新たな技術開発、大学等から企業への先端的技術移転、大学と企業との共創型共同研究、そしてベンチャー創出や社内ベンチャー設立等による事業化が挙げられる。この中で、ベンチャー創出こそが地方を活性化する切り札になるのでは、と見ている。

公益財団法人全日本地域研究交流協会(JAREC)は、科学技術による地域イノベーション創出に少しでもお役に立てるよう、努力していきたいと思っている。