2018年4月号
シリーズ 人(ひと)
強みを生かし、地に足の着いた産業支援を
顔写真

飛川 剛 Profile
(とびかわ・つよし)

公益財団法人とかち財団 事業部 地域連携支援課 課長


地域の概要と財団の設立

当財団は、北海道を筆頭に十勝管内の19市町村、農業団体、業界団体、企業、個人などからの出捐金により1993年8月に設立された。

北海道は国内有数の農業生産を誇る。中でも十勝地域は肥沃(ひよく)な大地と恵まれた気候から、道内屈指の大規模畑作地帯であり、第一次産業が地域の基幹産業となっている。こうしたことから、当財団は、農業を核とした地域産業を支援し、高度化や複合化等を目指した産業振興支援に取り組んでいる。

前職の経験を生かして…

十勝地域の特徴である、広くて大きい空と大地に引かれ、1999年神奈川県から移住した。前職は小規模の調査会社に勤務し、東北、四国、中国地方などの中山間地域を主とした地域振興事業に携わっていた。こうした経験から、十勝地域に移住を決めたとき、同様の仕事がしたいという思いから当財団の門をたたいた。そして、産業支援コーディネーターとして当財団での活動がスタートした。

当初は、地域の企業ニーズなどを的確に把握するため、行政機関や商工団体などの力を借りて、十勝管内の企業訪問などを行った。十勝の面積は全国上位の岐阜県とほぼ同じ広さであり、時間はかかったができる限り訪問させていただいた。こうした活動から、時の経過とともに多くのご相談が寄せられるようになり、分野としては全く未知であった無認可の保育所を起業する方のご支援まですることができるようになった。

支援拠点とものづくり支援

当財団は、現在二つの施設を運営している。一つは、1994年4月に設置された「北海道立十勝圏地域食品加工技術センター」、そしてもう一つは、当財団が設置主体となり、06年4月に開設された「十勝産業振興センター」である。

食品加工技術センターについては、食品加工に関する技術支援や製品開発に関する支援などを行っている。十勝産業振興センターについては、主に機械や電子・電気分野に関する技術支援や製品開発支援を行っている。また、両センターとも、技術者養成のための実践的な講習会やセミナーなども開催している。

施設や設備だけでなく、研究員や技術者を配置していることで、技術支援、開発支援を実施する強みを有しており、食品では、開発支援に関与した商品が食品加工技術センター開設以来370アイテム以上ある。また、開設12年目を迎える十勝産業振興センターでは、技術開発支援により農産物の選別機や農業機械が開発され、10億円を超える売り上げに貢献している(写真1)。

写真1 とかち財団が運営する二つのセンター

強みを生かす産業活性化ビジョン

企業などが抱える課題やニーズは多様化し、付加価値をどう創出するか、それをどう販路につなげることができるかなど、課題は尽きない。また、産業を取り巻く環境は目まぐるしく変化してきており、その中でいかに、きらりと光る製品づくりやサービス開発ができるかが重要になってきている。こうしたことから、将来の展望・あるべき姿を示すために、2012年度から当財団の産業活性化ビジョンを策定し、現在第2期(2017~21年度)のビジョンの下、事業展開を図っている。この第2期ビジョンでは、当財団の「技術開発支援」、「販路拡大支援」、「人材育成支援」等強みを生かし、「十勝の未来につなぐ『価値』の創出と向上を目指す~マーケットを意識したものづくり支援~」を掲げ、売れるものづくりや、起業、事業創発につなげる支援を実施し、地域の結び付きの中で十勝の産業活性化に貢献していくこととしている(図1)。

図1 第2期産業活性化ビジョン概要

未来につなげるさらなる産業振興支援

当財団は2018年4月1日に神奈川県の公益財団法人起業家支援財団と合併し、同財団が取り組んできた人材育成事業(奨学金制度による学生起業家支援、創業間もない事業者への事業化助成支援など)を継承する形で、地域の事業創発を支援するための新事業を開始する予定である。こうした取り組みにより、さらに支援の層に厚みを持たせた、未来につなげる活動を実施していく。

おわりに

現在、当財団は地域の産業支援機関として、十勝における産業支援のプラットフォーム(拠点化)の推進に取り組んでいる。これからも当財団の強みを生かし、持ち得るリソースを駆使して、地域産業支援の推進に貢献していきたいと考えている。