2018年4月号
イベント・レポート
JSTシンポジウム in 大阪
オープンイノベーションの本格的駆動に向けて

本格的産学連携の実現に向け、産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム(OPERA)などを通じて、骨太の産学共創により、いかに未来を切り開くオープンイノベーションを実現していくか。産学官の有識者が一堂に会したシンポジウムが大阪で行われた。

OPERAでオープンイノベーションを加速

国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が2016年度から開始した「産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム(OPERA)」では、産業界の協力の下、大学などが知的資産を総動員し、新たな基幹産業の育成に向けた「技術・システム革新シナリオ」の作成に着手している。それに基づく研究開発を通して、基礎研究や人材育成などで産学のパートナーシップを拡大し、オープンイノベーションの加速を目指している。

OPERAは、新たな基幹産業の育成の核となる革新的技術の創出を目指すとともに、その育成が図れる持続的な研究環境や体制、人材育成システムを持つプラットフォームの形成が目的だ。そのOPERAの重要性を理解してもらおうと、2月26日、大阪市北区のグランフロント大阪コングレコンベンションセンターホールAで「JSTシンポジウム in 大阪~オープンイノベーションの本格的駆動に向けて~」が開催された。

産学官一体で組織対組織を-基調講演

第一部では、主催者の白木澤佳子JST理事、来賓の関総一郎氏(うめきた2期みどりとイノベーションの融合拠点形成推進協議会代表、関西経済連合会専務理事)のあいさつの後、須藤亮氏(産学共創プラットフォーム推進委員会委員長)から「本格的な産学連携に向けて産業界からの大学への期待」と題し基調講演が行われた。講演の中で須藤氏は、「society 5.0の実現にはIoT、AI、ロボット、ライフサイエンスが産業と社会構造を劇的に変化させる」とし、「国を挙げた経済社会全体の革新を目指すべきで、その実現への課題に対し産学官一体となり組織対組織で取り組むべきだ」と語った(写真1)。

その後、文部科学省科学技術・学術政策局の村瀬剛太氏から政策報告が発表された。村瀬氏は、2017年6月に閣議決定された「未来投資戦略2017」に触れ、2025年までに企業から大学と国立研究開発法人への投資を3倍増にすることを強調。「産学官連携による共同研究強化のためのガイドライン」にも言及し、大学から企業へのクロスアポイントメントにも期待を示した。また、オープンイノベーション機構の整備や知的財産マネジメント事例をベースに、契約書のモデル、選択の考え方などを提示する「さくらツール」の活用なども訴えた。

写真1 須藤亮氏の基調講演

パネルディスカッション

第二部では、須藤亮氏をモデレーターに、先に登壇した関総一郎氏、村瀬剛太氏に加え、財満鎭明氏[名古屋大学理事(学術研究・産学官担当)、副総長]、八木康史氏[大阪大学理事・副学長(研究、産学共創、図書館担当)]、高田隆氏[広島大学 理事・副学長(社会産学連携担当)]がパネリストとして参加し、「オープンイノベーションの本格的駆動に向けて」をテーマにパネルディスカッションが行われた(写真2)。

写真2 パネルディスカッション

高田氏はOPERAによるゲノム編集事例、財満氏は従来の自動車運転研究テーマに加え、OPERAによる人間センシング、標準データベース、行動理解、サービスインタラクションを新たに追加した人間機械協奏技術コンソーシアム事例、八木氏は大阪大学コマツみらい建機協働研究所や中外製薬、大塚製薬、ダイキン工業などとの組織的連携事例、また関西経済界を代表し、関氏は関西各地のクラスター事業などの現状について意見を述べた。

340席を設けた会場は、全国の大学や研究機関と企業、地方自治体などの関係者で埋め尽くされ、質問も相次ぎ、関心の高さがうかがえるイベントとなった。

最後に、齊藤仁志JST副理事は、会場となったグランフロント大阪9階のJST大阪事務所に在籍するマッチングプランナーの活動と、8月30日・31日に開催されるJSTフェアやイノベーション・ジャパンの組織展示も活用してほしいと締めくくった。

そのほか、同会場では「EDGE-NEXT KANSAIシンポジウム2018」(ルーム1・2)と「イノベーションストリームKANSAI 2018~うめきた2期から未来へ~」(ホールB・C/27日まで)も同時開催された。

(本誌編集長 山口泰博)

●概要
JSTシンポジウム in 大阪
~オープンイノベーションの本格的駆動に向けて~
会期:2018年2月26日(月)13:30~16:00
会場:グランフロント大阪 B2F コングレコンベンションセンター ホールA
主催:国立研究開発法人科学技術振興機構
後援:うめきた2期みどりとイノベーションの融合拠点形成推進協議会
入場:無料